一級建築士試験の構造で、受験生がつまずきやすいテーマの一つが保有水平耐力計算です。
名前からして難しそうですし、Qu、Qun、Ds、Fes、Qudといった記号が出てくると、それだけで苦手意識を持つ人も多いと思います。
ただし、試験対策として最初に押さえるべきことは、実はとてもシンプルです。
保有水平耐力計算は、ざっくり言えば、建物が持っている水平耐力が、必要とされる水平耐力を上回っているかを確認する計算です。
つまり、まず見るべき式はこれです。
Qu ≧ Qun
- Qu:建物が持っている保有水平耐力
- Qun:建物に必要とされる保有水平耐力
- QuがQun以上であればOK
これだけです。
もちろん、実務上の構造計算としては細かい検討があります。
しかし、一級建築士試験の学科対策としては、まずこの関係を理解することが大切です。
この記事では、保有水平耐力計算を一級建築士試験向けに、できるだけわかりやすく整理します。
細かい計算手順を追いかけるよりも、試験で選択肢を判断するための理解を重視して解説します。
保有水平耐力計算とは?結局何を確認しているのか
保有水平耐力計算とは、建物が地震時にどれだけの水平力に耐えられるかを確認する計算です。
一級建築士試験では、難しい言葉に見えますが、まずは次のように考えると理解しやすくなります。
保有水平耐力計算は、建物の耐力が「合格ライン」を超えているかを確認する計算です。
その合格判定の基本が、次の式です。
Qu ≧ Qun
Quは、建物が実際に持っている水平耐力です。
Qunは、建物に必要とされる水平耐力です。
つまり、建物が持っている力であるQuが、必要な力であるQun以上であれば、耐震安全性を満たしていると考えるわけです。
ここで大事なのは、Qunを「合格ライン」と考えることです。
たとえば試験で70点以上が合格だとすれば、自分の点数が70点を超えているかを確認します。
これと同じように、保有水平耐力計算では、建物が持っている耐力Quが、必要な耐力Qunを超えているかを確認します。
つまり、
- Quが大きいほど有利
- Qunが小さいほど有利
- QuがQunを下回るとNG
という関係になります。
保有水平耐力計算が難しく見える理由は、式そのものよりも、出てくる記号や係数の意味がわかりにくいからです。
しかし、最初の理解としては、
「QuがQunを超えていればよい」
これを軸にすれば十分です。
この章のまとめ
- 保有水平耐力計算は、Qu≧Qunを確認する計算
- Quは建物が持っている水平耐力
- Qunは建物に必要とされる水平耐力
- Qunを「合格ライン」と考えると理解しやすい
- 試験では、まずQuとQunの大小関係を押さえる
なぜ保有水平耐力計算は難しく感じるのか
保有水平耐力計算が難しく感じる理由は、計算式が極端に難しいからではありません。
むしろ、受験生にとって難しいのは、考え方の切り替えです。
構造の勉強では、最初に許容応力度計算の考え方に触れることが多いです。
許容応力度計算では、柱や梁などの部材に生じる応力度が、許容応力度を超えないかを確認します。
簡単に言えば、
部材ごとに「この部材は大丈夫か」を見る計算
です。
一方で、保有水平耐力計算では、建物全体としてどこまで水平力に耐えられるかを見ます。
つまり、
建物全体として「地震に対してどれだけ粘れるか」を見る計算
です。
この違いがわからないまま、Qu、Qun、Ds、Fesといった記号を覚えようとすると、かなり混乱します。
特に一級建築士試験では、細かい構造計算の手順よりも、次のような理解が問われやすいです。
- 保有水平耐力計算では何を確認しているのか
- QuとQunはどちらが大きければよいのか
- Dsが小さいと有利なのか、不利なのか
- Fesが大きいと有利なのか、不利なのか
- 許容応力度計算と保有水平耐力計算は何が違うのか
つまり、試験対策では、複雑な計算を完全に再現するよりも、係数が合格ラインを上げるのか、下げるのかを理解することが大切です。
保有水平耐力計算は、難しい構造計算というより、試験上はまず、
建物の耐力と必要耐力を比べる考え方
として押さえましょう。
この章のまとめ
- 難しく感じる理由は、式よりも考え方の切り替えにある
- 許容応力度計算は、部材ごとの安全性を見る
- 保有水平耐力計算は、建物全体の耐力を見る
- 試験では、係数の意味と有利・不利の関係が大切
- まずは「建物全体の合格ライン判定」と考える
許容応力度計算と保有水平耐力計算の違い
保有水平耐力計算を理解するうえで、許容応力度計算との違いを押さえることはとても重要です。
ざっくり言うと、許容応力度計算は部材ごとの確認です。
一方、保有水平耐力計算は建物全体の確認です。
表にすると、次のようになります。
| 項目 | 許容応力度計算 | 保有水平耐力計算 |
|---|---|---|
| 主な視点 | 部材ごとの安全性 | 建物全体の耐力 |
| 確認すること | 応力度が許容応力度以下か | QuがQun以上か |
| イメージ | 柱・梁などが個別に大丈夫か | 建物全体として地震に耐えられるか |
| 試験でのポイント | 応力度・許容応力度 | Qu・Qun・Ds・Fes |
| 見ている段階 | 比較的小さな力に対する安全性 | 大地震時の終局的な耐力 |
許容応力度計算では、部材に生じる応力度が許容応力度を超えていないかを確認します。
つまり、柱や梁を一つずつチェックしていくイメージです。
一方で、保有水平耐力計算では、建物が大地震時にどれだけ水平力に耐えられるかを見ます。
部材が一部塑性化することも前提にしながら、建物全体として必要な耐力を持っているかを確認します。
ここで大事なのは、保有水平耐力計算が単に「もっと難しい計算」というわけではないことです。
見ているものが違います。
許容応力度計算は、部材が許容範囲内に収まっているかを見る。
保有水平耐力計算は、建物全体として大地震時にどれだけ耐えられるかを見る。
この違いがわかると、ルート3の理解もしやすくなります。
ルート3では、最終的に建物の保有水平耐力Quが、必要保有水平耐力Qun以上であることを確認します。
つまり、試験対策としては、
許容応力度計算は部材チェック、保有水平耐力計算は建物全体の耐力チェック
と覚えておくとよいです。
この章のまとめ
- 許容応力度計算は、部材ごとの安全性を見る
- 保有水平耐力計算は、建物全体の耐力を見る
- 許容応力度計算は「部材チェック」
- 保有水平耐力計算は「建物全体の合格ライン判定」
- ルート3では、Qu≧Qunの関係が重要になる
必要保有水平耐力Qunとは?合格ラインの決め方
保有水平耐力計算で重要になるのが、必要保有水平耐力Qunです。
Qunは、建物に必要とされる水平耐力です。
試験対策では、Qunを合格ラインと考えるとわかりやすくなります。
保有水平耐力計算では、建物が持っている耐力Quが、このQun以上あるかを確認します。
Qu ≧ Qun
この関係を満たせばOKです。
では、Qunはどのように決まるのでしょうか。
一級建築士試験でよく出てくるのが、次の式です。
Qun = Ds × Fes × Qud
それぞれの意味をざっくり整理すると、次のようになります。
| 記号 | 意味 | 試験向けの理解 |
|---|---|---|
| Qun | 必要保有水平耐力 | 合格ライン |
| Ds | 構造特性係数 | 粘り強さによる調整 |
| Fes | 形状係数 | バランスの悪さによる割増 |
| Qud | 地震力のベース | 大地震時に必要な基本の力 |
この式で大事なのは、Qunが大きくなると、保有水平耐力計算としては不利になるということです。
なぜなら、Qunは合格ラインだからです。
たとえば、試験の合格点が70点なら、70点を超えれば合格です。
しかし、合格点が80点に上がれば、合格するのは難しくなります。
これと同じように、Qunが大きくなると、Qu≧Qunを満たしにくくなります。
つまり、
- Qunが大きい:不利
- Qunが小さい:有利
です。
そして、Qunを左右する代表的な係数が、DsとFesです。
ここが試験で非常に問われやすいポイントです。
特に、
- Fesが大きいとQunが大きくなる
- Dsが小さいとQunが小さくなる
という関係は、必ず押さえておきたいところです。
この章のまとめ
- Qunは必要保有水平耐力
- 試験対策では「合格ライン」と考えるとわかりやすい
- Qunが大きいほど不利
- Qunが小さいほど有利
- Qunを決める重要な係数がDsとFes
Fesとは?バランスの悪い建物へのペナルティ
Fesは、建物の形状やバランスの悪さを反映する係数です。
一級建築士試験向けには、Fesを次のように理解するとわかりやすいです。
Fesは、バランスの悪い建物に対するペナルティです。
建物は、単に強ければよいというわけではありません。
平面的なバランスや、各階の剛性のバランスも重要です。
たとえば、次のような建物は地震時に不利になりやすいです。
- 平面的に偏りがある建物
- 重心と剛心が大きくずれている建物
- ねじれやすい建物
- ある階だけ極端に柔らかい建物
- 特定の階に変形が集中しやすい建物
このような建物は、地震時に一部に力や変形が集中しやすくなります。
そのため、必要保有水平耐力Qunを割り増して、安全側に評価します。
この割増に関係するのがFesです。
式をもう一度見てみます。
Qun = Ds × Fes × Qud
Fesが大きくなると、Qunも大きくなります。
Qunは合格ラインなので、Qunが大きくなると、Qu≧Qunを満たしにくくなります。
つまり、Fesが大きい建物は不利です。
ここで大事なのは、Fesを単なる記号として覚えないことです。
Fesは、
「バランスの悪い建物は、必要な耐力を割り増して評価される」
という考え方です。
試験では、Fesが大きい場合に有利か不利かを問うような選択肢が出ることがあります。
そのときは、次のように考えましょう。
Fesが大きい
→ Qunが大きくなる
→ 合格ラインが上がる
→ 不利
これで判断できます。
この章のまとめ
- Fesは建物のバランスの悪さを反映する係数
- 剛性率や偏心率に関係する
- Fesは「バランスの悪い建物へのペナルティ」と考えるとわかりやすい
- Fesが大きいとQunが大きくなる
- Fesが大きいほど、保有水平耐力計算上は不利
Dsとは?粘り強い建物へのボーナス
Dsは、構造特性係数です。
これも名前だけ見るとかなり難しく感じますが、一級建築士試験向けには次のように考えるとわかりやすいです。
Dsは、粘り強い建物へのボーナスです。
ここでいう粘り強さとは、地震時にすぐに壊れるのではなく、変形しながらエネルギーを吸収できる性質のことです。
構造の言葉では、靭性と呼ばれます。
靭性が高い建物は、大地震時に一気に脆く壊れるのではなく、変形しながら粘ることができます。
そのため、必要保有水平耐力を少し小さく評価できる場合があります。
これがDsの考え方です。
もう一度、式を見てみます。
Qun = Ds × Fes × Qud
Dsが小さくなると、Qunも小さくなります。
Qunは合格ラインなので、Qunが小さくなると、Qu≧Qunを満たしやすくなります。
つまり、Dsが小さいほど有利です。
ここで、受験生がよく混乱するポイントがあります。
「粘り強い建物なら、Dsは大きくなるのでは?」
と思ってしまうことです。
しかし、試験対策では逆に考える必要があります。
Dsは、建物の強さそのものを表す数値ではありません。
必要保有水平耐力Qunを調整する係数です。
そのため、
粘り強い建物
→ 必要耐力を少し下げてもよい
→ Dsを小さくできる
→ Qunが小さくなる
→ 有利
という流れになります。
この関係は、かなり重要です。
試験では、
Dsが小さいほど必要保有水平耐力は小さくなる
と押さえておきましょう。
この章のまとめ
- Dsは構造特性係数
- 試験対策では「粘り強い建物へのボーナス」と考える
- Dsが小さいとQunが小さくなる
- Qunが小さいとQu≧Qunを満たしやすい
- 試験では「Dsが小さい=有利」と押さえる
Qudとは?大地震時の地震力のベース
Qunの式には、Qudという記号も出てきます。
Qun = Ds × Fes × Qud
Qudは、必要保有水平耐力を決めるための地震力のベースです。
一級建築士試験では、DsやFesほど強く問われる印象はないかもしれませんが、式の意味を理解するためには、Qudも最低限押さえておきたいところです。
ざっくり言えば、Qudは、
大地震時に建物に作用すると考える地震力の基本部分
です。
保有水平耐力計算は、大地震時に建物がどこまで耐えられるかを見る計算です。
そのため、通常の地震力よりも大きな地震力を想定します。
試験対策としては、Qudについて深追いしすぎる必要はありません。
ただし、次のように整理しておくと理解しやすいです。
- Qudは必要保有水平耐力のベースになる地震力
- DsやFesによってQudが調整される
- 最終的にQunとして必要耐力が決まる
- QuがそのQunを上回るかを確認する
つまり、Qudは「もとの地震力」、DsとFesは「調整係数」と考えるとよいです。
受験生としては、Qud単体を細かく覚えるよりも、
Qun = Ds × Fes × Qud の中で、DsとFesがQunをどう変化させるか
を理解することが大切です。
この章のまとめ
- Qudは必要保有水平耐力のベースになる地震力
- DsやFesによってQudが調整され、Qunが決まる
- Qudは大地震時を想定した地震力の基本部分
- 試験では、Qudを深追いしすぎるより、式全体の意味を押さえる
- Qunは最終的な「合格ライン」と考えるとよい
ルート3とは?保有水平耐力計算との関係
一級建築士試験では、保有水平耐力計算はルート3とセットで理解することが多いです。
ルート3は、建築基準法上の構造計算ルートの一つで、保有水平耐力計算によって建物の耐震安全性を確認するルートです。
試験対策としては、ルート3を次のように理解するとよいです。
ルート3は、建物全体の保有水平耐力を確認するルートです。
つまり、最終的には、
Qu ≧ Qun
を確認します。
ルート1やルート2では、仕様規定や許容応力度計算などにより安全性を確認します。
一方で、ルート3では、建物が大地震時にどれだけ耐えられるかを、保有水平耐力という形で確認します。
ここで大切なのは、ルート3が単に「難しいルート」という意味ではないことです。
ルート3では、建物が塑性化することも考慮しながら、建物全体として必要な耐力を満たしているかを確認します。
そのため、Dsのような「粘り強さ」を反映する係数や、Fesのような「バランスの悪さ」を反映する係数が重要になります。
試験では、ルート3の細かい計算手順をすべて問うというよりも、
- ルート3では保有水平耐力計算を行う
- Qu≧Qunを確認する
- Dsは構造特性係数
- Fesは剛性率・偏心率に関係する
- 建物の靭性やバランスが必要保有水平耐力に影響する
といった理解が問われやすいです。
ルート3は、
「建物全体として大地震に耐えられるかを確認するルート」
と押さえておきましょう。
この章のまとめ
- ルート3では保有水平耐力計算を行う
- 最終的にはQu≧Qunを確認する
- 建物全体の耐震安全性を見る
- DsやFesの理解が重要になる
- ルート3は「建物全体の合格ライン判定」と考えるとわかりやすい
試験ではどこが問われる?頻出ポイントを整理
一級建築士試験では、保有水平耐力計算の細かい実務手順よりも、係数の意味や有利・不利の関係が問われやすいです。
特に大事なのは、次の表です。
| 試験で問われやすいこと | 押さえ方 |
|---|---|
| QuとQunの関係 | Qu≧QunならOK |
| Quの意味 | 建物が持っている保有水平耐力 |
| Qunの意味 | 建物に必要とされる保有水平耐力 |
| Fesの意味 | バランスの悪い建物へのペナルティ |
| Dsの意味 | 粘り強い建物へのボーナス |
| Fesが大きい場合 | Qunが大きくなるので不利 |
| Dsが小さい場合 | Qunが小さくなるので有利 |
| 許容応力度計算との違い | 部材確認か、建物全体確認か |
この中でも、特に重要なのは次の2つです。
Fesが大きいと不利。
Dsが小さいと有利。
この2つは、選択肢を判断するときにかなり使えます。
なぜなら、どちらもQunに直接かかる係数だからです。
Qun = Ds × Fes × Qud
Fesが大きくなれば、Qunは大きくなります。
Qunが大きくなれば、Qu≧Qunを満たしにくくなります。
つまり不利です。
一方、Dsが小さくなれば、Qunは小さくなります。
Qunが小さくなれば、Qu≧Qunを満たしやすくなります。
つまり有利です。
このように、試験では単に記号を覚えるのではなく、
その係数が合格ラインを上げるのか、下げるのか
で判断すると理解しやすくなります。
この章のまとめ
- 試験では細かい計算より、係数の意味が大切
- Qu≧QunならOK
- Fesが大きいとQunが上がるので不利
- Dsが小さいとQunが下がるので有利
- 係数が「合格ラインを上げるか下げるか」で判断する
よくある間違い|Dsが大きい方が有利だと思ってしまう
保有水平耐力計算で、受験生がよく間違えるポイントがあります。
それが、
Dsは大きい方が有利だと思ってしまうこと
です。
たしかに、直感的にはそう思いたくなります。
「粘り強い建物なら、Dsも大きくなるのでは?」
「性能が高いなら、係数も大きい方がよいのでは?」
このように考えてしまう人は多いと思います。
しかし、保有水平耐力計算では、DsはQunにかかる係数です。
Qun = Ds × Fes × Qud
Dsが大きくなると、Qunも大きくなります。
Qunは必要保有水平耐力、つまり合格ラインです。
合格ラインが上がると、Qu≧Qunを満たしにくくなります。
つまり、Dsが大きいと不利になります。
逆に、靭性が高く、粘り強い建物では、必要とされる耐力を小さく評価できます。
そのため、Dsを小さくできます。
つまり、
粘り強い建物
→ Dsを小さくできる
→ Qunが小さくなる
→ 合格ラインが下がる
→ 有利
という流れです。
ここは、言葉のイメージだけで覚えると間違えやすいところです。
だからこそ、試験では次のように覚えておくのがおすすめです。
Dsは小さいほど有利。
Fesは大きいほど不利。
この2つをセットで押さえておけば、選択肢の判断がかなり楽になります。
この章のまとめ
- Dsは建物の強さそのものを表す数値ではない
- DsはQunにかかる係数
- Dsが大きいとQunが大きくなり不利
- 靭性が高い建物ほどDsを小さくできる
- 試験では「Dsが小さい=有利」と覚える
保有水平耐力計算の覚え方
保有水平耐力計算は、記号が多いので丸暗記しようとすると混乱します。
おすすめは、次のようにストーリーで覚えることです。
まず、建物には実際に持っている耐力があります。
これがQuです。
一方で、建物には「これだけは耐えてほしい」という必要耐力があります。
これがQunです。
そして、建物がOKかどうかは、QuがQunを超えているかで判断します。
Qu ≧ Qun
次に、Qunは次の式で決まります。
Qun = Ds × Fes × Qud
ここで、Qunは合格ラインです。
Fesは、バランスの悪い建物へのペナルティです。
バランスが悪い建物は危ないので、合格ラインを上げます。
一方で、Dsは、粘り強い建物へのボーナスです。
粘り強い建物は地震時にエネルギーを吸収できるので、合格ラインを下げられます。
このように考えると、次のように整理できます。
- Qu:自分の点数
- Qun:合格ライン
- Fes:バランスが悪い建物へのペナルティ
- Ds:粘り強い建物へのボーナス
つまり、
保有水平耐力計算は、建物の点数Quが、合格ラインQunを超えているかを確認する計算
と覚えるとわかりやすいです。
この覚え方なら、選択肢で迷ったときも判断しやすくなります。
この章のまとめ
- Quは建物の点数
- Qunは合格ライン
- Fesはペナルティ
- Dsはボーナス
- 保有水平耐力計算は、QuがQunを超えるかを見る計算
一級建築士試験では、細かい計算より「意味」を押さえる
一級建築士試験の学科では、保有水平耐力計算の実務的な細かい手順をすべて再現する必要はありません。
もちろん、構造設計の実務では厳密な理解が必要です。
しかし、試験対策としては、まず選択肢を正しく判断できることが重要です。
そのためには、次のような理解が役立ちます。
- Quは建物が持つ耐力
- Qunは必要な耐力
- Qu≧QunならOK
- Fesが大きいとQunが大きくなる
- Dsが小さいとQunが小さくなる
- バランスが悪い建物は不利
- 粘り強い建物は有利
このように、意味を理解しておくと、暗記だけに頼らず判断できます。
特に構造が苦手な人ほど、いきなり細かい式を暗記しようとしがちです。
しかし、先に理解すべきなのは、
何を確認している計算なのか
です。
保有水平耐力計算で確認しているのは、建物が必要な水平耐力を持っているかどうかです。
そして、その必要な水平耐力は、建物の粘り強さやバランスの悪さによって変わります。
ここまで理解できれば、保有水平耐力計算はかなり見通しがよくなります。
この章のまとめ
- 試験では、細かい計算手順より意味の理解が重要
- Qu≧Qunの関係を軸に考える
- Fesは合格ラインを上げる方向に働く
- Dsは合格ラインを下げる方向に働く
- 「何を確認している計算か」を先に押さえる
まとめ|保有水平耐力計算は「合格ライン」を見る計算
保有水平耐力計算は、名前だけ見るとかなり難しく感じます。
しかし、一級建築士試験対策としては、まず次の一文で理解しておけば大丈夫です。
保有水平耐力計算は、建物が持っている水平耐力Quが、必要とされる水平耐力Qunを上回っているかを確認する計算です。
つまり、基本はこの式です。
Qu ≧ Qun
Quは建物が持っている耐力です。
Qunは建物に必要とされる耐力です。
そして、Qunは次の式で考えます。
Qun = Ds × Fes × Qud
ここで大事なのは、Qunを「合格ライン」と考えることです。
Fesが大きくなると、Qunが大きくなります。
つまり、合格ラインが上がるので不利です。
一方、Dsが小さくなると、Qunが小さくなります。
つまり、合格ラインが下がるので有利です。
最後に、試験対策として押さえるべきポイントを整理します。
- 保有水平耐力計算はQu≧Qunを見る計算
- Quは建物が持つ保有水平耐力
- Qunは建物に必要な保有水平耐力
- Qunは合格ラインと考える
- Fesはバランスの悪い建物へのペナルティ
- Fesが大きいと不利
- Dsは粘り強い建物へのボーナス
- Dsが小さいと有利
- 許容応力度計算は部材チェック
- 保有水平耐力計算は建物全体の耐力チェック
保有水平耐力計算は、式を丸暗記するよりも、
係数が合格ラインを上げるのか、下げるのか
を理解することが大切です。
この考え方で整理すれば、構造が苦手な人でも、試験問題の選択肢をかなり判断しやすくなります。
FAQ|保有水平耐力計算でよくある疑問
Q. 保有水平耐力計算は何を確認する計算ですか?
保有水平耐力計算は、建物が持っている保有水平耐力Quが、必要保有水平耐力Qun以上あるかを確認する計算です。
試験対策では、まず
Qu≧Qunを確認する計算
と理解するとわかりやすいです。
Q. QuとQunの違いは何ですか?
Quは、建物が実際に持っている保有水平耐力です。
Qunは、建物に必要とされる保有水平耐力です。
簡単に言えば、
- Qu:建物の点数
- Qun:合格ライン
と考えると理解しやすいです。
Q. Dsは大きい方が有利ですか?
いいえ。
一級建築士試験の理解としては、Dsは小さい方が有利です。
Dsが小さくなると、必要保有水平耐力Qunが小さくなります。
Qunが小さくなると、Qu≧Qunを満たしやすくなるためです。
Q. Fesは大きい方が有利ですか?
いいえ。
Fesは大きいほど不利です。
Fesが大きくなると、必要保有水平耐力Qunが大きくなります。
Qunが大きくなると、合格ラインが上がるため、Qu≧Qunを満たしにくくなります。
Q. 許容応力度計算と保有水平耐力計算の違いは何ですか?
許容応力度計算は、柱や梁などの部材ごとに安全性を確認するイメージです。
一方、保有水平耐力計算は、建物全体として必要な水平耐力を持っているかを確認する計算です。
試験対策では、
許容応力度計算は部材チェック、保有水平耐力計算は建物全体の耐力チェック
と整理するとわかりやすいです。

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