構造の計算問題は、5~6問出題されますが、苦手としてる人も多いです。
問題集の解説を読んでも、回答への一直線の解説がされていて、
「なんでそんな風に考えることができるのか?」
がわからず、なんとなく解法を暗記して、同じ問題しかできないということになります。
今回は、「考え方」にフォーカスして、色んな問題へ応用できるように解説します。

良く「切断して考える」って言うけど、そもそもなんで切るねん!!ってなりがち
問題

問題集の解説
まずは、問題集にあるような解説です。
$A$点で切断した左側部分を取り出して、切断面に曲げモーメント$Ma$を仮定する。
$A$点まわりのモーメントのつり合い $ΣMa=0$より
$Q×2l-P×l+Ma=0$
$A$点に曲げモーメントが生じないので、Ma=0
$∴Ql-Pl=0$
$P=2Q ∴P:Q=2:1$

なんで切断を左側を取り出すの?
$Ma$を仮定するってどういうこと?
考えるために必要な知識
力学問題を考えるためには、次のことを知っておきましょう。
「動かないもの」は、力が釣り合っている
物体には常に何かしらの力が働いています。しかし、それが動かずにその場にあるのは、それに釣り合う(打ち消す)力が働いているためです。
例えば、机のうえにあるペンは、重力が作用して下向きに動こうとしていますが、机からそれに釣り合う反力が作用しているので、その場にとどまっていられます。
物体が動いていないと、力が作用していないように感じてしまいますが、そこが力学問題を解くときに色々な力を仮定している理由が分からなく要因です。
物体が動いてなくても、力自体は作用しているため、$Va$や$Ha$、$Ma$と様々な力を仮に設定すること事態は不自然なことではありません。
そして、同時に大切なのは、その仮定した力は、物体が動いていないことを考えると、釣り合っている、つまり、足し算すると0になっているはずということです。
この「物体に作用する力を仮定→動かないから足したら0のはず」がとても重要なので覚えておきましょう。
解くためのコツ
「動かないもの」は、力が釣り合っているということを含めて、問題を解く上でのコツを解説します。
・「●●=0」の方程式を立てることを意識しよう
・切断する場所は、仮定する力(変数)が少なるように選ぼう
・問題形式から、立てる方程式の数を意識しよう

解くためのコツを順番に解説します。
<「●●=0」の方程式を立てることを意識する>
問題を解くために最終的には、方程式を解く必要があります。
その為に、先ほどの力のつり合いや、問題文の条件を利用するわけです。
<切断する場所は、仮定する力(変数)が少なるように選ぶ>
力のつり合いや、問題文の条件を使って「0」を見つけて、方程式を考えます。
その際に力やモーメントを仮定する必要がありますが、その数はなるべく少なくなるように意識して切断位置を決定するようにしましょう。
<問題形式から、立てる方程式の数を意識しよう>
変数(わからない数)1個に対して、1つ方程式を立てると、その変数を求めることが出来ます。
つまり、わからない数が2つある場合は、2つの方程式(連立方程式)を立てないと値が求まらないわけです。
ただし、問題が値ではなく、比率を求める問題の場合は方程式は1つでもわかるので、その点は意識しましょう。
解ける人の頭の中
解ける人の頭の中を解説しながら、先ほどの問題集の解説へつなげていきたいと思います。
まず、問題を見たら
「PとQの比率を出す問題だから、方程式は1つ立てれば解けるかも。」
方程式を立てたいので、次に見るのは
「点Aにモーメントが生じない場合のPとQを考えるってことは、逆に点Aはモーメント0っていうのが今回の問題のポイントぽいなー」
どこで切断したらいいかわからないので、仮に右の固定端付近で切断したとすると
「固定端で切断して、力の釣り合い式(方程式)を立てようとしても、点Aのモーメント=0っていうのが全然生かせないなー」
ここで、右固定端での切断を断念して、点Aで切断してみることにします。
「点A部分で切断して、$Va$,$Ha$,$Ma$を点A部分に仮定して、力の釣り合い式を考えて見よう。」
「点Aは動いてないから、点Aまわりのモーメントの合計も0のはずだよね。」
「$Va$,$Ha$とか仮定したけど、そもそも点Aまわりのモーメントの場合は、距離0になっちゃうから意味なかったな。まぁいいか」
「$Q×2l-P×l+Ma=0$で方程式かけた―。あ、点Aのモーメントは0ってことだから$Ma$も0だよなー。この問題のポイントっぽい所使えた。これは正解にたどり着きそう。」
「結局、$Q×2l-P×l=0$ってことだから、割合だけなら余計な文字を消せば、わかりそう」
「$P=2Q ∴P:Q=2:1$だーできたー」
まとめ
解ける人の頭の中を思考の流れで再現してみました。
問題文からヒントを手掛かりに、推測しながら解いています。
また、仮に間違った解法に進みそうになっても、解くために必要な方程式の数や、ポイントがわかっているので、トライしてダメだった場合も、別の解法へ進めています。
できるひとも必ずしも一直線に答えに辿り着いているわけではないことが分かったと思います。
似たような問題を解いていけば、徐々に効率的に回答できるようになります。
また、一級建築士試験の構造は時間が足りないということは、ほぼありません。
何度かトライしながら答えにたどり着く余裕があるはずなので、焦らずに考えることができる訓練をしましょう。
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