日経クロステックで面白い記事があったので、そのデータを基に建築士が取るべき次なる資格を考察してみよう。
こちらの記事は255人~322人の建築系資格保有者に、資格の保有有無や、その効果をアンケートし、パーセンテージで表現しています。
データが2022年5月なので、現状と異なる可能性はあるが、データの性質を考えると数年で大きな変化があるものではないと考えて差支えないでしょう。
こちらの記事を基に、あなたが次に取るべき資格についてお伝えします。
記事でも使われているのが下表です。

表を見ての率直に「ちょっと見づらい」と感じるのでないでしょうか?
それは、この表が保有率順に並んでいて、あなたが知りたいと思っている情報順に並んでいないからです。
まずは、データを少し並び変えてみましょう。
実務に役立った
実務に役立ったという回答が多かった順に並び替えてみました。

一級建築士以上に役に立ったという資格は2つだけ、保有者の60%以上が役に立ったと言ったのは4つの資格だけです。
この4資格に共通していることを考えます。
まず、「実務に役に立ったか?」といった質問内容には大きくは、下の2つの捉え方があるでしょう。
A.資格の勉強で培った知識が実務に役に立った
B.資格保有がプロポーザルの要件であるなど、資格保有自体が実務に役に立った
4ついずれの資格も合格するには、それぞれの分野について、網羅的な知識が要求される資格です。
網羅的な知識は、様々な場面・会話で必要になるケースがあり、実務で役立ったと実感しやすいでしょう。
また、一級建築士 や一級施工管理技士、適合性判定資格者は、資格保有者でないと、その仕事に従事ができないという点で資格保有自体が役立っています。
建築設備士についても、一級建築士や設備一級建築士の要件が緩和されるなど、保有自体が役立ちます。
このように、ランキング上位の資格は、AとBの両面を備えていることが分かります。
一方、技術士はプロポーザルの要件に含まれることはありますが、技術士でなければできない仕事はありません。
資格試験の内容も、自然科学全般の知識や論理構成力が問われるので、実務に直結していません。
そのため、そこまで上位に位置していないものと考えられます。
独立に役立った
独立に役立ったという回答が多かった順に並び替えてみました。

全体的にロースコアであることが分かります。
これから、基本的に建築系の資格が独立には直接的に優位に働かないことがわかります。
その中で、相対的に高いスコアにあるのは、技術士(その他の部門)と一級建築士です。
建築設計は、比較的初期投資が小さく、独立事務所を開きやすいため、一級建築士資格のスコアが高くなったと考えられます。
1級施工管理技士の資格だけでは、初期投資の大きい建設会社を独立する難しいですよね。
また、技術士(その他の部門)が高い要因としては、技術士はその免許がなければ出来ない仕事はないですが、コンサルティング会社を立ち上げるうえで、自身の能力の高さを示すことが出来るためと考えられます。
また、技術士は合格者で独自のコミュニティを形成するので、そこでの人脈なども独立に役立つとカウントされているのではないかと推察できます。
昇格・昇進・昇給に役立つ&社内評価の向上に役立つ
次は、「昇格・昇進・昇給に役立つ」と「社内評価の向上に役立つ」を並べてみました。

本来、「昇格・昇進・昇給」は「社内評価」と同じようなスコアにあって欲しい。
ですが、残念ながら「社内評価」の方が全体的にスコアが高く、「社内評価」が直接的に昇進や昇給につながらない日本企業の悪いところがこの結果からも垣間見えます。
その中で、突出して高いスコアなのが技術士です。
さすが、日本技術士会曰く「最も権威のある国家資格」。
かなり知名度も高く、獲得による周りからの評価上昇は間違いないでしょう。
一級建築士や設備士は、実務に直結する有用な資格ということもあり、社内評価にもつながりやすく、逆に持っていないと、社内での昇進が難しい資格といえるでしょう。
社外からの評価の向上に役立った
つづいて、社外からの評価の向上に役立った順に並べてみました。

ここでも、技術士が強いですね。
確かに、名刺交換時に技術士と書いてあると、少しびっくりしますよね。
ペンギンも結構若くから技術士もっているので、名刺交換の際には、色んな人から驚かれます。
お客さんへのプレゼンの際にも、「若者」ではなく、「技術者」として認知して話を聞いてもらえるので、その点は非常に有用な資格と考えています。
一級建築士は、建設業界ではない人からすると、かなり権威のある資格に見られていますよね。
実際は、獲得して、やっと半人前扱いなのに。。
就職・転職に役立った
皆が気になる、就職・転職に役立った順に並べてみました。

堂々の一位は、一級建築士。
実際に転職した人は、間違いなく同じ感想でしょう。
むしろ、建築業界において、一級建築士を持っていなければ、年収UPの転職はできないと考えるべきです。
企業の募集要項には、ほとんどの場合、一級建築士保有がエントリー要件になっています。
また、ここでも技術士がつよいですが、社内外からの評価のことを考えれば当然の結果でしょう。
コンクリート診断士も高いスコアを獲得しています。
コンクリート診断士は、コンクリートに関わる資格の中では、最高権威といっても過言ではないです。
そういった点で、耐震診断や構造物の診断調査を行う会社には抜群に優位な資格といえるでしょう。
特になかった
悲しい特になかった順に並べてみました。

ちょっと悲しいのが全体的にスコアが高めなこと。
資格を取っても「良いことがなかった」となっている割合が高いようです。
これは、最初に「何のために資格をとるか」を明確にしておらず、取った資格を活かそうとしている人が少ないためではないかとも考えられます。
まとめ<建築士の次の資格は?>
さて、様々なランキングを確認した結果としては、一級建築士・建築設備士・技術士が非常に強かったですね。
そうなると、建築士の次の資格としては、建築設備士か技術士がおすすめです。
どちらも難しそうと思われるかもしれませんが、どちらも試験資格の要件のハードルが低く、受験しやすい資格です。
また、どちらも「若くから持っている」の補正が入ると、より効果を発揮します。
ぜひ、早くからチャレンジして欲しいと思います。
一方、闇雲に資格だけを取っても、何もメリットを得られていないこともわかりました。
今日の記事を読んで、自分が本当にやるべきことを見極めから行動するようにしてもらえたらなと思います。
今回の資格は古くからある王道の資格でしたが、時代はDX化の流れにあり、今までとは違ったものが求められると思います。
今後は、それらについてもリサーチして記事にしていきます。

やりたいこと・やるべきことを考えて、戦略を練ろう!
コメント