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【実務に役立つ】ややこし過ぎる!あと施工アンカーの法的な扱いをまとめてみた

2020年度では、年間約7億本、生産金額にして180億円程のあと施工アンカーが生産されており、

建設現場においてあと施工アンカーはなくてはならない存在です。

2023年8月に13年ぶりに各種合成構造設計指針・同解説が改訂されましたが、その理由は、

あと施工アンカー使用上の位置づけを明確にして欲しいという社会的、要望が強かったからです。

あと施工アンカーは、法規上の扱いも難しく、

「結局どういうものなのかよくわからない」という声が多くあります。

今回は、あと施工アンカーに関して、

実務者が知っておきたい法的なポイントについて、

最新の告示改正内容も踏まえて解説します。

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目次

告示改正前のあと施工アンカーの扱い

後述しますが、あと施工アンカーについて、

令和4年3月31日に、平成13年告示第1024号の一部が改正されました。

これにより、あと施工アンカーの適用範囲が拡大されることになります。

そこで、そもそものあと施工アンカーの法律上の扱いを理解している方が、告示改正の内容理解がしやすいので、

まずは、その点を解説していきます。

これまでよく言われていたのは、「あと施工アンカーは新築工事の構造躯体では使用できない」というものです。

その理由の本質を一言でいうと、

「長期の許容応力度を法規的に認めているものがないから」

これにかぎります。

この、「長期」だけ認められていないというのが大切です。

まず、あと施工アンカーの建築基準法の指定建築材料に含まれておらず、

構造耐力上主要な部分への使用ができません。

しかし、位置旧耐震建築物の耐震性向上のため、耐震補強が必要不可欠なことから耐震改修促進法の中で、既存不適格建築物に対して、あと施工アンカーが使用できることになっていました。

この時も耐震改修という地震に対する対策のみが対象であり、長期的な荷重に対してはやはり使用できません。

その後、現行の建築基準法に準拠した建築物へ構造部材として用いる場合の法的な規制として、建築基準法の国土交通省告示第1024号の一部改正、平成18年(2006年)12月において「あと施工アンカー・連続繊維補強設計・施工指針」が規定され、あと施工アンカーの短期許容応力度が告示化されてました

これによって、その範囲においては、構造部材ついても、あと施工アンカーが建築基準法に定義されたことになり、既存建築物の補強に限り、建築基準法上の構造計算に考慮することが可能となりました。

これによって、耐震補強工事だけでなく、新築・増改築の際に、既存建物の補強するという目的であれば、あと施工アンカーを使うことができるようになったというわけです。

令和4年の告示改正内容

令和4年3月31日に、建築基準法に基づく平成13年告示第1024号の一部が改正されました。

それは、既存建築物の補強用に限定されない、構造部材へのあと施工アンカーの適用拡大の要望を受けたものです。

改正後の同告示では、国土交通大臣が強度を指定したあと施工アンカーに限り、

新築、増改築などの際における補強以外の用途に使用することが可能になりました。

国土交通大臣から強度の指定を受けるには、

・あと施工アンカー単体の各種試験

・あと施工アンカーを用いた構造部材の性能試験

・適用範囲の決定

を行い、資料を揃えて国土交通省へ強度指定を申請することになります。

なお、「構造部材の性能試験」とは、下図のような、あと施工アンカーを用いた実際の接合部などを想定し、その部分について各種試験を行うことを指します。

引用:国土交通省HP<平成27年度建築基準整備促進事業>

これらの詳細については、「接着系あと施工アンカー強度指定申請ガイドライン」にまとめられています。https://www.seinokyo.jp/c/files/anchor/anchor-guidelines20220331.pdf

なお、告示の対象は、接着系あと施工アンカーだけです。

金属拡張アンカーについては、性能の安定性という点で不安があるため、対象に含まれていません。

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非構造部材・設備等付属物設置におけるあと施工アンカーについて

あと施工アンカーは構造部材ではなく、非構造部材・設備等付属物の設置の方が良く使うかと思います。

そちらについても、法的な位置づけを整理しておきましょう。

設備機器などの付属物の固定に用いる場合については、

平成24年告示第1338年号「建築設備の構造耐力上安全な構造方法を定める件」

平成25年告示第771号「特定天井及び特定天井の構造耐力上安全な構造方法を定める件」

平成25年告示第1046号「地震その他の振動によってエスカレーターが脱落するおそれがない構造方法を定める件」

などにより建築基準法に定義されています。

ただし、その中でもやはり、長期の許容強度は規定されておらず、長期荷重を負担する部分での使用は認めれていない点には注意をしましょう。

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まとめ

下図にあと施工アンカーの法的な扱いをまとめています。

図の上の方にある項目について、対応する法規を図の下の方に記載しています。

法規的には、使用範囲が拡大されることになります。

今後、強度指定を受けたあと施工アンカーが、実用化されることになるかと思われます

(2023年10月現在はまだありません。)

ただ、あと施工アンカーは施工品質が性能に与える影響が大きい為、

使用時には十分な品質管理を行う事は変わらずに実施されるべきでしょう。

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