MENU

折半屋根での雪害を未然に防ぐための準備ガイド

2月の中盤から後半にかけて数年に一度関東地方でも大雪が降ります。

2014年2月の大雪では、積雪後の降雨により、大スパン・緩勾配の屋根を持つ、倉庫や体育館、カーポートに多くの被害はありました。

これを受けて2019年には積雪荷重に関して建築基準法告示の見直しがされています。

その他にも、物流倉庫や体育館のような折半屋根の建物においては、雪に対して気を付けておくべきポイントがあります。

この記事では、新しい基準の概要と、折半屋根の雪に対する注意点を解説します。

この記事を読めば、折半屋根での雪害を未然に防ぐ方法を学ぶことができます。

あわせて読みたい
【実務に役立つ】免震建物は敷地境界からどのくらい離れればOK?計画初期に一番悩むポイントをわかりや... 大きな地震の後には免震建物が注目されます。 建物をいかに免震建物で計画するかについて、初期段階で下記のような悩み出てきます。 「免震建物はどのくらいの敷地境界...
目次

2014年2月の大雪の概要

大雪の状況

2014年2月13日に発生した低気圧により、西日本から北日本にかけて太平洋側の広い範囲で雪が降り積もった。

特に14日の夜から15日かけては、関東甲信地方や東北地方の一部で記録的な大雪なった。

雪は雨へと変わったため、湿った重たい雪になったと指摘されています。

被害の状況

大雪による被害は全国広範囲にわたり、死者26名、負傷者701名の人的被害をもたらし、建物被害は全壊棟数16棟、半壊棟数46棟、一部破壊585棟に及んでいます。

特に、降雪後に降雨が重なった地域(群馬、埼玉、東京都など)において、以下の屋根を有する建築物に被害が集中しました。

・大スパン(棟から軒までの長さが10m以上)
・緩勾配(15度以下)
・屋根重量が軽い(屋根版が鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造でないもの)

新基準の要点

被害の詳細を調査し、国土交通省は、積雪後の降雨も考慮に入れ、緩勾配屋根の建物に適用される積雪荷重の基準を見直しました。

割増係数を乗じた積雪荷重により構造計算を行う必要がある屋根面は、以下の5条件のすべてに該当するものが対象です。(告示では、④及び⑤の条件を満たす屋根を特定緩勾配屋根と定義しています。)

①多雪区域以外の区域にある建築物
②垂直積雪量が15cm以上の区域にある建築物
③屋根重量が軽い(屋根版がRC造又はSRC造でない)
④緩勾配屋根(15度(約2.68/10)以下)
⑤棟から軒までの水平投影長さが10m以上

告示の意図は、雪があまり降らない地域でも、時に多くの雪が降ること、予想外の被害があることに対する警鐘です。

よりくわしい情報は、各確認申請期間のHPを参照されるとよいと思います。

特に、ビューローベリタスさんのHPはわかりやすくまとまっていて参考になりました。

折半屋根建物の雪害への注意ポイント

法改正前の建物について

倉庫業を営むような倉庫の場合は、殆どが当該法改正の対象になるでしょう。

法改正後に新築する場合は、積雪荷重を割り増しした上で設計しています。

しかし、 既に建設された倉庫については、既存不適格としてそのままであることが殆どです

理由は、階高の高い屋根面の補強は施工難易度も高く、費用も膨大になるためです。

既存の倉庫所有者は、実際にあった被害を考え、自身の所有者不動産のリスクを理解しておくのが良いでしょう。

また、この法律はエキスパンションジョイントにより切り離されていても、建物を一体として使う増築については、既存屋根面に同法規の適用を求めます。(既存訴求)

屋根からの落雪リスクについて

次に、屋根面に積もった雪の落下リスクについてです。

倉庫の屋根面には通常折板屋根が使われ、専用の雪止め金物を設置しています。

しかし、雪が少ない場所などでは、建設費削減の為に雪止め金物を設置していない場合もあります。

この時の設計者や施工者の発想は、「雪も少ないし、軒樋もあるので、軒樋に雪が落ちるので問題ない」というものです。

しかし、こちらが折板屋根に積雪があった時の様子です。

折板屋根屋根の凹部分に雪が大量に溜まっているのが分かります。

また、太陽光パネルが設置されていますが、太陽光パネルの雪が先に溶けていることもわかります。

この太陽光パネルの溶けた雪が水となり、隣の溝部分の雪部分に流れ込みます。

すると、ある重さまで達したとき、溝部の雪はこのまま心太のように、綺麗に滑り出します。

そうなると、いくら大きな軒樋のあったとしても、軒樋の中は、直ぐにいっぱいになります。

そして、いっぱいになった軒樋の雪のうえを雪溜まりが心太式に落下します。

倉庫や体育館などは階高も高い為に落下する雪による衝撃は相当なものです。

倉庫や体育館の計画をする際は、雪止めをケチらないことをオススメします。

また、軒樋天端を屋面よりも上に計画しておくことも、重要でしょう。

既に建設済みであるものの場合、降雪後数日は、軒下を立ち入り禁止にするなどの運用を取り入れることも有効です。

まとめ

・雪が少ない地域でも、気候条件により大きな雪害になる場合がある

・法規制が改正されているが、その以前の建物の多くは対策できていない

・法改正前の建物への増築の際は既存訴求されるので注意が必要

・折半屋根の建物への雪止め金物設置、あらかじめの運用の決定が重要

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次