この記事は、連載「仕事と両立する一級建築士受験」の第1回です。学習計画から教材・講座の選び方、苦手科目への対策まで、働きながら合格を目指す方に向けて順番に整理していきます。
※本記事は、学習サービスの広告を含みます。
※情報確認日:2026年10月24日。2027年の試験日程・受験要領は、建築技術教育普及センターの公式発表をご確認ください。
「来年こそ、一級建築士に合格したい」
そう思っていても、いざ勉強を始めようとすると、迷うことがいくつも出てきます。
仕事が落ち着いてから始めても間に合うのか。毎日、何時間くらい勉強すればよいのか。そもそも、年内は何を終わらせておくべきなのか。
設計の締切や現場対応がある仕事では、毎日同じ時間に勉強できるとは限りません。家庭の予定もあれば、休日をすべて受験勉強に使うのも難しいでしょう。
この記事では、2027年に学科試験から受験する社会人、特に初めて本格的に勉強を始める方を中心に、学習を始める時期と、仕事を続けながら実行する計画の立て方を解説します。学科を再受験する方は、得意・不得意に応じて調整してみてください。
結論からいうと、来年の受験を考えているなら、秋の今から準備を始めることをおすすめします。まずは2週間、自分が使える時間と、学習にかかる時間を確かめてみましょう。
最初から毎日長時間の計画を立てるより、実際に続けられる形をつかみ、そのペースで本試験までに必要な範囲を終えられるか見直すことが大切です。
一級建築士の勉強はいつから?秋に始めると計画を調整しやすい

「何月から始めれば必ず間に合う」という境目はありません。
建築の基礎知識、受験経験、使える時間、苦手科目によって、準備に必要な期間は変わります。学科の学習経験がある人と、しばらく試験勉強から離れていた人では、同じ計画にはなりません。
そのうえで、働きながら初めて挑戦する方に秋からの準備を勧めるのは、学習量だけでなく、勉強の進め方を調整する時間を確保できるからです。
例えば、勉強を始めて初めて、次のようなことが分かります。
- 朝は集中できるが、帰宅後は思ったほど進まない
- 通勤中は用語の復習には使えるが、計算問題は解きにくい
- 法規は知識だけでなく、法令集を引く練習にも時間がかかる
- 構造は、解説を読む前に基本用語へ戻る必要がある
早めに分かれば、時間の使い方や教材を修正できます。
「年明けから本気を出す」と決めている方も、年内に一度、実際の学習を試しておくと、自分に合う始め方を考えやすくなります。
計画を立てる前に、受験区分・現在地・使える時間を確認する

学科から受けるのか、製図に専念するのか
一級建築士試験には「学科の試験」と「設計製図の試験」があり、学科合格者には一定の条件で学科免除の制度があります。建築技術教育普及センター
本記事の学習計画は、学科から受験する方を対象としています。学科免除で製図のみ受ける方は、エスキス・作図・記述・添削を軸とした別の計画が必要です。
初受験の方は、教材を購入する前に、受験資格も公式情報で確認しておきましょう。受験資格と、合格後の免許登録に必要な要件は分けて確認してください。建築技術教育普及センター
最初の過去問は、現在地を知るために使う
まだ勉強していない段階で、過去問が解けなくても落ち込む必要はありません。
最初は5科目から少しずつ問題を見て、「何を聞かれる試験なのか」を確かめます。
その際、解けた・解けなかっただけでなく、次の3つに分けてみてください。
| 問題を見たときの状態 | 最初に取り組むこと |
|---|---|
| 用語の意味が分からない | 基本用語や図を確認する |
| 内容は分かるが、正誤を判断できない | 判断の根拠を学ぶ |
| 解き方は分かるが、時間がかかる | 手順を整理し、演習する |
「構造が全部苦手」と考えるより、「用語で止まっている」「反力の求め方で止まっている」と分けた方が、次にすることを決めやすくなります。
仕事と家庭の予定を先に置く
学習計画を立てるときは、先に仕事や家庭の予定を確認します。
繁忙期、出張、休日出勤、家族の行事。すでに分かっている予定を入れてから、使える時間を探しましょう。
「平日は毎日2時間、休日は毎日6時間」と理想を先に置くと、忙しい週に計画全体が崩れやすくなります。勉強時間を増やせる部分と、動かしにくい予定を分けて考えることが大切です。
2027年受験に向けた学習スケジュールの例

ここからは、2026年秋に学習を始める場合の計画例を紹介します。
以下は学科対策の進め方の提案であり、公式日程や、合格を保証する学習基準ではありません。
2026年10月24日時点で確認した公式ページには2026年の試験日程が掲載されています。2027年の試験日、申込期間、適用法令などは、今後の公式発表に合わせて確認してください。建築技術教育普及センター
| 時期 | 学習の中心 | 進み具合を確かめる目安 |
|---|---|---|
| 2026年10〜12月 | 学習習慣をつくる。5科目の全体像を知り、法規・構造など時間を要する分野に着手 | 週間の学習枠が決まり、苦手の入口が分かっている |
| 2027年1〜2月 | 各科目の基本学習と問題演習を進める | 学んだ範囲で、誤答の理由を説明できる問題が増えている |
| 3〜4月 | 全科目の基本範囲を一通り学び、弱点を整理する | 未学習の範囲と、復習が必要な範囲を区別できる |
| 5〜6月 | 科目を混ぜた演習、時間を測った演習、弱点の補強 | 科目別の得点と時間配分から、優先課題を決められる |
| 学科試験直前 | 本番形式の演習と取りこぼしの確認 | 頻出事項、法令集の検索、解答手順を確認できている |
初めから毎日の予定を本試験まで埋める必要はありません。月ごとの到達目標を置き、詳しく決めるのはまず次の1〜2週間にします。
年内は「全体像の確認」と「実際の演習」を組み合わせる
年内の学習では、教材選びや計画づくりだけで時間を使い切らないことが大切です。
5科目の範囲を確認したら、一つの単元を学び、対応する問題を解いてみましょう。その結果をもとに、必要な復習を加えていきます。
法規や構造を早めに進める場合も、その科目が完成するまで他の科目に触れない計画にはしません。全体を見ながら、時間のかかる部分を早めに見つけます。
科目の勉強順や過去問の進め方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 一級建築士試験の勉強法|まず何から始めるべきかを実務者目線で解説
春は「全部終わったか」だけで判断しない
講義を最後まで見た、問題集を1周した。それだけでは、どこまで身に付いているか判断できません。
春の段階では、少なくとも次の3つを分けて把握しましょう。
- まだ学習していない範囲
- 学習したが、自力では判断できない範囲
- 時間を置いても、根拠を持って解ける範囲
この区別があると、復習するべきところが見えてきます。
製図対策の予定も、早めに確認しておく
学科から受験する方も、製図をどのように学ぶか、費用や時間をいつ確保するかは早めに確認しておきましょう。
特に製図が初めてなら、必要な道具や学習の流れを調べ、作図に触れてみる時間を設けることも検討できます。ただし、学科の準備状況を見ながら配分し、製図の準備で学科の学習が大きく遅れないようにします。
働きながらの勉強時間は、「短い復習」と「机での演習」に分ける

「毎日何時間やればよいですか」と聞きたくなる気持ちはよく分かります。
ただ、必要な時間は現在の理解度で変わります。まず考えたいのは、使える時間に合う学習内容を割り当てることです。
| 使える時間・場所 | 取り組む内容の例 |
|---|---|
| 電車での通勤、昼休みなど | 用語の確認、短い講義、学習済み問題の復習 |
| 朝や帰宅後の机に向かえる時間 | 法令集を引く練習、計算問題、誤答の根拠確認 |
| 休日のまとまった時間 | 複数単元の演習、時間を測る演習、週間の見直し |
例えば、法規の知識確認は短時間でも進められますが、本番を意識して法令集を引く練習には、実物を使う時間も必要です。
構造の解説動画を見た後も、自分で図を描き、式を立てて解くところまで予定に入れます。
週間の時間配分を具体化してみる
次は、時間の置き方を考えるための一例です。
| 曜日 | 学習枠の例 | 合計 |
|---|---|---|
| 平日5日 | 朝45分+移動中など15分+夜30分 | 7時間30分 |
| 土曜日 | 机での演習・復習 | 3時間 |
| 日曜日 | 弱点の復習・週間の見直し | 2時間 |
| 週間合計 | 12時間30分 |
これは、週12時間30分で合格に十分という意味ではありません。 ご自身の生活に合わせて時間を置くための例です。
2週間ほど実行すると、「1単元の学習と問題演習にどの程度かかるか」「復習にどれだけ時間が必要か」が見えてきます。
その実績で残りの学習範囲を終えられるか確認し、足りない場合は、学習枠の追加、進め方、教材・講座の利用を見直しましょう。
また、週末の枠の一部は、遅れを調整できる時間として残しておきます。予定が順調なら復習に使い、忙しい週には未消化の重要項目へ振り替えます。
残業や現場対応で遅れたら、翌週に全部上乗せしない

働きながら受験する以上、予定どおりに進まない週はあります。
大切なのは、遅れをなかったことにせず、次の計画に反映することです。
例えば、仕事が重なり、法規の演習と施工の復習が残ったとします。翌週の予定にすべて上乗せすると、再び終わらず、未消化だけが積み上がることがあります。
そんなときは、次の順序で見直してみてください。
- 何が残ったかを具体的に書く。 「勉強が遅れた」ではなく、単元や問題の範囲で整理します。
- 次の学習に必要なものを優先する。 基本事項の理解や、誤答した重要問題の復習を確認します。
- 翌週に入る量へ組み直す。 優先度の低い追加教材や、必要以上に丁寧なノートづくりは後に回します。
忙しい日には、学習済み問題の短い復習だけにする方法もあります。ただし、それは一時的に学習をつなぐための対応です。
短時間の学習しかできない状態が続く場合は、「継続できているから大丈夫」とせず、残りの範囲と期間を見直してください。睡眠を削って埋め続ける計画では、仕事との両立も難しくなります。
最初の2週間で、ここまで確かめてみよう

初めの2週間は、年間計画を現実の生活に合わせるための試行期間です。
1〜3日目:受験条件と学習環境を確認する
受験資格、学科から受験するかどうか、手元の教材を確認します。
次に、仕事と家庭の予定を見ながら、学習に使える枠を入れます。教材や講座を比較する時間にも区切りをつけ、実際に学ぶ時間を確保しましょう。
4〜7日目:小さな範囲で「学ぶ→解く」を試す
一つの単元を学び、対応する問題を解き、間違えた理由を確認します。
記録するのは、勉強時間に加えて、学習した範囲と、次に復習する内容です。「動画を見た」で終わらず、自分で答えるところまで試してみてください。
8〜14日目:復習を入れて、週間計画を修正する
数日空けて、学んだ問題をもう一度解いてみます。
そのうえで、「朝の方が進む」「夜の枠は短くした方が続く」「法規に使う時間が想定より多い」といった実感を、次の予定へ反映します。
2週間が終わったときに、次の3つが分かれば、その後の計画を立てやすくなります。
- 実際に使える学習時間
- 一つの単元と復習にかかる時間
- 自力で進めにくい範囲
過去問を使った学習と復習の考え方は、こちらも参考にしてください。
→ 一級建築士試験の効率的な勉強法|“読むだけ”より過去問で間違える方が記憶に残る理由
通学時間や教材管理が負担なら、オンライン講座も選択肢

ここまで試してみて、「自分で学習内容を組み立てる負担が大きい」「通学時間は確保しづらい」と感じる方は、オンライン講座も検討できます。
例えば、STUDYing(スタディング)の一級建築士講座には、オンラインの講義・問題演習や、学習計画・復習を支援する機能があります。スマートフォンを使う短い学習時間と、机で問題を解く時間を組み合わせる際の候補になります。studying.jp
ただし、使いやすさや説明との相性は人によって異なります。無料体験では、次の3点を確かめてみてください。
- 講義の説明を理解しやすいか
- 普段使う画面で、文字や図が見やすいか
- 問題演習と復習の操作を続けられそうか
2027年向け学科・製図総合コースの商品案内では、紙の冊子は付属せず、付属のQ&Aチケットは学科が対象とされています。製図の個別添削も、講義とは分けて、対象年度の提供条件を確認しましょう。studying.jp
講座が日々の学習を進めやすくするか、必要なサポートが含まれているかを見て選ぶことが大切です。
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※無料体験の範囲、受講料、教材、サポート条件は、公式サイトの最新案内をご確認ください。
よくある疑問

年明けから始めても間に合いますか?
開始月だけでは判断できません。基礎知識、受験経験、確保できる時間によって変わります。
年明けに本格的な学習を始める予定でも、年内に現在地と学習ペースを確認しておくことをおすすめします。計画を立てた後は、実際の演習結果を見て、進め方を調整しましょう。
去年のテキストや法令集は使えますか?
手元の教材は、基礎を思い出したり、試験範囲の全体像を確認したりする際に使えます。ただし、法令改正や教材の訂正、出題範囲の変更などは別に確認が必要です。
特に法規では、実務で現在使う法令と、試験の解答に適用する法令の時点が一致するとは限りません。2026年試験では「2026年1月1日現在施行」の法令を適用すると案内されていますが、2027年は当該年度の受験要領を確認してください。建築技術教育普及センター
法令集の準備は、使用する版だけでなく、持込みに関する当該年度の条件や教材側の案内も確かめながら進めましょう。
今日の準備を、次の1週間につなげよう

来年の受験に向けて、今日から取り組みたいのは次の3つです。
- 学科から受験することと、受験資格を確認する
- 仕事・家庭の予定を踏まえ、次の1週間の学習枠を決める
- 小さな単元で、学習・問題演習・復習を試す
最初の計画は、実際に勉強してから直して構いません。
秋のうちに自分の現在地と学習ペースを知っておけば、年明け以降に何を増やし、何を調整するかも具体的に考えられます。まずは次の1週間を決め、一つの単元から始めてみましょう。
参考・確認先
次回予告|独学・通信・通学、自分に合うのはどれ?

学習に使える時間が見えてくると、次に気になるのが「どの方法で勉強するか」です。
連載第2回では、**「一級建築士は独学・通信・通学のどれが合う?費用とサポートで選ぶ勉強方法」**を取り上げます。
受講料だけでなく、通学時間、質問の範囲、製図の添削、自分で学習を管理できるかまで比較し、仕事と両立しやすい方法を考えていきます。


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