分譲マンションを選ぶとき、
これまでは主に次の要素が比較軸でした。
・立地
・価格
・間取り
・ブランド
しかし、これからはそこにもう一つ重要な軸が加わるかもしれません。
それが 「対災力」 です。
2026年3月、不動産大手の東急不動産と東急コミュニティーは、分譲マンションの有名ブランド「BRANZ」における新しい防災基準 「BRANZ×対災力」 を公表しました。
この取り組みは、防災設備の強化だけではありません。
災害時の行動を整理した共助ツール、防災備蓄の仕組み、太陽光発電と蓄電池による停電対応など、ハードとソフトを組み合わせた包括的な仕組みです。
注目すべきなのは、これを単なる管理サービスではなく、
マンションの価値を高める商品企画として打ち出している点です。
つまり、防災が
次住むマンションの「選ばれる理由」へ変わり始めている
可能性を秘めています。
この記事では、これからのマンション市場で防災がどのような意味を持つのかを整理してみます。

「対災力」とは何か
東急不動産と東急コミュニティーが発表した「BRANZ×対災力」は、
分譲マンションの防災対策を体系化した新しい基準です。
特徴は、設備だけではなく「行動設計」まで含めている点です。
例えば、災害発生時に住民が迷わず動けるよう、共助行動をカード化した
「災害時まずはここからBOX」
が用意されています。
これは、特定の役員や防災担当者だけでなく、
その場にいる住民でも役割を理解して動けるようにするための仕組みです。
さらに、次のようなハード面の整備も組み込まれています。
・共助行動に合わせて整理された防災備蓄倉庫
・停電時に照明や電源を確保する蓄電池
・共用部の電力を支える太陽光発電
・入居時に配布される防災キット
・防災行動を整理するガイドブック
これらをパッケージ化し、
新築物件では標準導入、
さらに 既存の分譲マンションにも順次展開 する方針とされています。
つまりこれは、
単なる設備追加ではなく、
マンションの価値を高めるブランド戦略の一部 として設計されているのです。
これまで防災に関するこういった取り組みは、オフィスや商業ビルなどでは一部取り入れられてきましたが、人が住む居住空間において、住民の行動指針まで踏み込んだブランド化というのが本件の画期的なところでしょう。

まとめ
・BRANZ×対災力は分譲マンションの新しい防災基準
・特徴は設備だけでなく「行動設計」まで含めている点
・太陽光発電、蓄電池、防災備蓄などをパッケージ化
・新築だけでなく既分譲マンションにも展開予定
・防災をブランド価値として打ち出している
なぜ今、防災がマンションの商品力になるのか
近年、マンション防災の重要性は急速に高まっています。
その背景にあるのが、
大規模災害時の在宅避難 という考え方です。
都市部では人口密度が高く、
避難所に全住民が入ることは現実的ではありません。
そのため行政も、
「自宅が安全なら在宅避難を基本とする」
という方針を示しています。
つまり、マンション自体が
小さな避難拠点として機能すること
が求められているのです。
さらに、国土交通省のマンション政策でも、
防災マニュアルの整備や備蓄の確保、
防災訓練などが重要項目として整理されています。
「マンション管理計画認定基準の見直し等について」
また、東京都など自治体もマンション防災ガイドラインを公表し、
共助体制や備蓄スペースの確保を推奨しています。
こうした政策環境の変化により、
マンションの防災対策は
「あると安心」
ではなく
「比較される性能」
へと変わりつつあります。
結果として、防災は
マンションの 資産価値やブランド力に直結する要素
になり始めているのです。


まとめ
・都市部では在宅避難が基本方針
・マンションが小さな避難拠点になる
・行政もマンション防災を重視
・防災は安心要素から比較項目へ変化
・資産価値にも影響する可能性
従来のマンション防災との違い
これまでのマンション防災は、
次のような形が一般的でした。
・防災マニュアルの作成
・備蓄品の保管
・年1回程度の防災訓練
もちろんこれらは重要です。
しかし実際には、
「備蓄がどこにあるか知らない」
「災害時に何をすればよいか分からない」
というケースも少なくありません。
つまり、防災対策は存在していても、
実際に機能するかは別問題 だったのです。
今回のBRANZの取り組みは、
ここを大きく変えています。
特徴は
「使える防災」
を設計している点です。
共助行動をカード化し、
誰でも役割を理解できるようにする。
備蓄も「保管」ではなく
取り出しやすさや動線 を考えて整理する。
つまり、
設備・備品・行動を一体で設計しています。
建築実務の視点から見ると、
これは「設備仕様」ではなく
運用設計まで含めた建築計画
と言えるかもしれません。

まとめ
・従来はマニュアルと備蓄が中心
・実際の行動が分かりにくい問題があった
・BRANZは行動設計まで含めている
・備蓄の使いやすさも設計
・運用まで含めた防災計画
これからのマンションは何で差がつくのか
今後のマンション市場では、
防災の評価軸も変わっていく可能性があります。
例えば次のようなポイントです。
・停電時にどこまで共用部機能を維持できるか
・防災備蓄の量とアクセス性
・住民が初動対応を理解しているか
・共助体制が整備されているか
・管理組合に仕組みが引き継がれるか
これらは単なる設備仕様ではなく、
マンションの運営品質 に関わる要素です。
つまり、防災は
・設計
・設備
・管理
・コミュニティ
すべてに関係するテーマになります。
もし将来、
「防災力の高いマンション」
という評価が定着すれば、
それはリセールバリューにも影響する可能性があります。
今回のBRANZの取り組みは、
そうした新しい評価軸の先行事例といえるでしょう。


まとめ
・防災は設備だけでは評価できない
・運営品質も重要になる
・設計・管理・コミュニティの連携が必要
・資産価値への影響も考えられる
・マンションの新しい競争軸になる可能性
まとめ|マンションは「対災力」で選ばれるのか
今回のBRANZの新防災基準は、
マンション市場の変化を象徴する取り組みと言えるかもしれません。
これまでマンション価値は
・立地
・ブランド
・設備
・価格
などで評価されてきました。
しかし今後はそこに
「災害時に暮らしを維持できるか」
という視点が加わる可能性があります。
耐震性能だけではなく、
停電時の電源、
備蓄、
住民の共助体制。
これらを含めた
「対災力」
が、新しいマンション価値になるかもしれません。
今回の東急不動産の取り組みは、
その方向性を示す一つの事例として
今後の動きを注視していきたいところです。

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