この記事は、連載「仕事と両立する一級建築士受験」の第3回です。今回は、学科試験の結果を振り返り、次の受験に向けて勉強方法と計画を組み直します。
※本記事は、学習サービスの広告を含みます。
※情報確認日:2026年11月1日。試験制度・日程・適用法令は、受験する年度の公式案内をご確認ください。
「あと少しだったのに、届かなかった」
「仕事をしながら、これ以上どこで勉強時間をつくればいいのか」
一級建築士の学科試験で思うような結果が出なかった後は、すぐに次の勉強へ気持ちを切り替えられないこともあるでしょう。教材を見ると、頑張っていた時間まで思い出すかもしれません。
そんなとき、いきなり新しい講座を申し込んだり、教材を買い足したりする前に、確認しておきたいことがあります。
今回、どの科目の、どんな問題で、なぜ点を落としたのか。
次の計画は、ここを整理してから考えましょう。
この記事は、2026年の学科試験で合格に届かず、2027年に学科から再挑戦する社会人を主な対象としています。過去に学習経験があり、しばらく受験から離れていた方にも使える見直し方です。
大切なのは、これまでの勉強をすべてやり直すことではありません。使える知識を確かめ、止まっていた部分と学習の進め方を修正することです。
学習時間そのものの組み立て方は、第1回も参考にしてください。
→ 第1回:一級建築士の勉強はいつから?働きながら続ける学習スケジュール
まずは「総得点」と「科目別の得点」を分けて見る

振り返りでは、結果通知、受験した年度の公式の合格基準、問題と正答、手元の学習記録を用意します。
自己採点のメモが残っている方も、正式な結果と照らし合わせて整理しましょう。
一級建築士の学科試験は、総得点だけを見て判断できません。各科目と総得点、それぞれの合格基準を確認する必要があります。
例えば、2026年の公式発表では、総得点の合格基準点は94点で、各科目と総得点のすべての基準に達していることが合格条件とされています。ただし、これは2026年の基準です。2027年も同じ点数になると決めて計画しないようにしましょう。jaeic.or.jp
→ 建築技術教育普及センター:2026年「学科の試験」の合格基準点等(PDF)
最初に、次のような表を一枚つくってみてください。
| 確認する項目 | 書いておくこと |
|---|---|
| 総得点 | 受験年度の合格基準との違い |
| 科目別の得点 | どの科目が基準に届かなかったか |
| 解答時間 | 時間切れ、急いで解いた範囲、見直せなかった範囲 |
| 正解したが迷った問題 | 根拠を説明できるか、偶然当たったものか |
| 学習状況 | 未学習だった範囲、復習が残っていた範囲 |
この段階では、「自分は法規が苦手」「全体的に勉強不足だった」で終わらせないことが大切です。
法規で時間が足りなかったのか、構造の基本的な考え方が分からなかったのか。具体的に分けると、対策も変わります。
また、試験問題や解答の記録が残っていなければ、記憶だけで当日の状況を断定する必要はありません。分からないところは「記録なし」とし、今の演習で確かめていきましょう。
間違えた問題は、原因を分けると対策が見える

同じ不正解でも、必要な勉強は一つではありません。
ここでは、振り返りのための整理方法として、主に次の5つに分けます。公式の分類ではなく、次の行動を決めるための目安です。
| 間違いの原因 | 具体的な状態 | 見直すこと |
|---|---|---|
| 知識が足りない | 用語や数値、基本事項を知らなかった | 該当する基本事項を確認し、対応する問題を解く |
| 理解が曖昧 | 解説を読むと分かるが、自分では判断できない | 判断の根拠や、式を立てる理由を説明する |
| 検索・解答に時間がかかる | 法令集や計算手順で止まり、最後まで解けない | 手順を確かめたうえで、時間を測って練習する |
| 読み違い・転記ミス | 条件や「正しい/誤っている」を取り違えた | 見落とした箇所を特定し、確認する動作を決める |
| 学習が未完了 | その範囲まで進めなかった、復習できなかった | 残りの学習量と、確保できる時間を組み直す |
一問に複数の原因が重なっていても構いません。迷ったら、「最初にどこで止まったか」を書きます。
法規なら、知識と法令集を引く手順を分ける
例えば、法規の問題を間違えた場合も、次のような違いがあります。
- どの規定を確認する問題なのか分からなかった
- 確認する規定は分かったが、法令集で探すのに時間がかかった
- 条文には到達したが、適用条件や例外を読み違えた
すべてを「法令集をもっと引く」でまとめると、必要な復習から外れることがあります。
最初のケースなら、問題と規定のつながりを確認します。探す時間が課題なら、該当箇所までの手順を練習します。読み違いなら、本文だけでなく、条件や例外のどこを見落としたかを確かめます。
構造なら、答えよりも途中で止まった場所を見る
構造の計算問題では、解説を読んで答えに納得するだけで終わらせないようにします。
図を描けなかったのか。力の向きで迷ったのか。式は立てられたが計算を誤ったのか。
次に取り組むときは、解説を閉じ、止まったところから自分で手順を進められるかを確認してください。
あと少しだった人も、苦手科目だけに絞らない

結果を見た後は、点数が低い科目へ勉強を集中させたくなります。
ただ、次の受験まで他の科目にほとんど触れない計画では、前回取れた点を維持できるか分かりません。
優先順位は、次の3つを一緒に考えます。
- 科目の基準に届かなかったところを補う
- 基本事項や、根拠が曖昧な正解を確かめる
- 他の科目も、間隔を空けて演習する
総得点は基準に届いたものの、特定の科目で届かなかった方は、その科目を重点的に補強します。同時に、得点できた科目も短い演習で状態を確認します。
全科目の基準は満たしたものの総得点が不足した方は、一番低い科目だけでなく、基本事項の取りこぼしや、判断の根拠が曖昧だった問題を各科目から探してみましょう。
「あと1点だった」場合も、次は1点だけ増やせばよいと考えるのは避けたいところです。問題が変わっても判断できる知識と、時間配分を整える必要があります。
前回の本試験を解き直すときの注意
受験した問題は、答えを覚えていることがあります。解き直しで正解しても、その点数だけで今の実力を判断しないようにしましょう。
確認したいのは、なぜその選択肢を選ぶのか、他の選択肢のどこが違うのかを説明できるかです。
さらに、近い論点の別の問題でも確かめると、特定の答えを覚えているだけなのかを見分けやすくなります。
教材は、全部買い直す前に「使える部分」を確認する

再受験を決めたからといって、手元の教材をすべて入れ替える必要はありません。
ただし、「去年使ったから、来年もそのままでよい」とも判断できません。次のように分けて確認します。
| 手元の教材・記録 | 確認すること |
|---|---|
| テキスト・問題集 | 対象年度、改訂内容、訂正情報、法令や基準の変更 |
| 法令集 | 受験年度に対応する版か、持込み条件に合うか |
| 自分のノート | 誤った理解が残っていないか、条件や根拠が書かれているか |
| 講座の教材・学習履歴 | 利用期限、翌年度版への更新条件、再利用できる記録 |
公式の過去問も、試験実施時の内容で掲載されており、現在の法令や規格などと一致しない場合があると案内されています。建築技術教育普及センター
特に法規は、実務で現在使う法令と、試験の解答に適用する法令の時点を区別してください。受験年度の案内と、教材の更新・訂正情報を照らし合わせながら使います。
教材を追加する理由も、「不安だから」から一歩進めてみましょう。
「今の解説では、構造の基本用語から理解し直すことが難しい」「法規の演習量が足りない」のように、埋めたい不足を一文で言えるか確かめます。
足りない部分がはっきりすると、必要な教材や支援も選びやすくなります。
再挑戦の最初の2週間は、分析と小さな修正に使う

仕事を続けながら再挑戦するなら、最初から大幅に勉強時間を増やすより、前回と何を変えるかを具体化してみましょう。
以下は、再開するときの計画例です。合格に必要な学習量や期間を示す基準ではありません。
| 時期 | すること | 残しておくもの |
|---|---|---|
| 1〜3日目 | 結果と学習記録を集め、科目別に整理する | 得点と時間配分の振り返り表 |
| 4〜7日目 | 代表的な誤答と、迷って正解した問題の原因を確認する | 優先して直す課題を3つ程度 |
| 8〜14日目 | 小さな範囲で勉強方法を変え、間隔を空けて解き直す | 実際に使った時間と、改善が必要な部分 |
全問の振り返りを完璧に終えるまで、勉強を再開できないわけではありません。
まずは、法規の一つの論点や構造の一単元など、範囲を絞って試します。分析だけで何週間も使わず、確認できたことを次の演習へ反映しましょう。
週間計画は「学習枠」と「すること」をセットにする
例えば、法規と構造の補強が必要な方なら、次のような配置が考えられます。
| 学習枠の例 | 取り組むこと |
|---|---|
| 平日の枠① | 法規の弱点を復習し、根拠となる条文を確認 |
| 平日の枠② | 構造の基本事項を確認し、自分で図と式を書いて解く |
| 平日の枠③ | 計画・環境設備の学習済み範囲を演習 |
| 平日の枠④ | 施工の演習と、残っている誤答の確認 |
| 週末のまとまった枠 | 科目を混ぜた演習、時間配分の練習、翌週の見直し |
これは時間の置き方の一例です。各枠の長さと回数は、確保できる時間、学習にかかる時間、残りの範囲から調整します。この枠数だけで合格に十分という意味ではありません。
忙しい週にできなかった内容は、全部を翌週へ積み上げるのではなく、基本事項と次の学習に必要な範囲を優先して組み直します。
記録するのは、勉強時間と「変わったこと」
一つの課題を直したら、次のように短く残してみてください。
- 以前:解説を読むと分かったつもりになっていた
- 今回:解説を閉じると、式を立てるところで止まった
- 次回:図と力の向きを確認してから、式を立て直す
「2時間勉強した」に加えて、次に直す部分が分かる記録を残します。
過去問の使い方は、こちらの記事でも解説しています。
→ 一級建築士試験の効率的な勉強法|“読むだけ”より過去問で間違える方が記憶に残る理由
独学・講座を見直すなら、「前回止まったところ」から選ぶ

「今回落ちたから、次は別の学校にしよう」
そう考える前に、前回の方法で何ができ、何が難しかったかを整理します。
| 前回の状況 | 見直すこと |
|---|---|
| 講義は見たが、問題演習が残った | 講義と演習をセットで予定に入れられるか |
| 解説を読んでも理解できず止まった | 基礎説明との相性、質問できる対象・回数・方法 |
| 通学できない日が重なった | 録画・振替・欠席時の対応と、自分の勤務予定 |
| 自宅で後回しになった | 学ぶ場所、提出期限、進み具合を確認する機会 |
| 教材を増やしすぎて消化できなかった | 中心教材を絞り、足りない部分だけ補えるか |
方法を変えた方がよい場合もありますし、同じ教材や講座の使い方を変える方が合う場合もあります。
選び直すときも、受講料だけでなく、必要な質問対応、利用できる時間帯、教材や復習の扱いやすさを確かめましょう。
→ 第2回:一級建築士は独学・通信・通学のどれが合う?費用とサポートで選ぶ勉強方法
オンライン講座は、説明と問題演習の両方を試す
通学時間を取りにくい方や、講義と問題演習をオンラインで進めたい方は、STUDYing(スタディング)も比較候補になります。
公式の無料体験では、登録後、一部の講義・テキスト・問題演習などを試せます。再受験の方は、体験できる範囲のうち、以前つまずいた内容に近い単元を選ぶと、説明や操作との相性を考えやすくなります。studying.jp
試すときは、講義を見た後に問題を解き、解説を読んでから、もう一度自分で判断できるかを確認しましょう。
ただし、講座を変えるだけで学習時間や復習の課題が解消するわけではありません。必要な機能や支援と、自分が実際に使う時間を一緒に考えます。
※無料体験の範囲、受講料、教材、質問対応、製図の個別添削などは、対象年度の公式案内で確認してください。本記事は筆者の受講体験談ではありません。
来年変えることを、一文にしてみよう

再挑戦の準備で、今日決めたいのは次の3つです。
- 結果と学習記録を集め、最初に見直す科目・単元を決める
- 代表的な誤答について、どこで止まったかを確かめる
- 次の1週間で、勉強方法を一つ変えて試す
例えば、「来年は法規をもっと頑張る」なら、もう一歩具体的にします。
「法規の誤答は、正答の確認だけで終わらず、根拠条文と見落とした条件まで確かめる」
「構造をやり直す」なら、こう書いてみましょう。
「解説を閉じ、自分で図と式を立てられるかを確認してから次の単元へ進む」
すべての課題を一度に解決する必要はありません。一方で、残りの学習範囲と期間の確認は続け、必要な学習量を確保できる計画へ調整していきます。
今回の結果を、次に変える行動へつなげる。そのための一枚の振り返り表と、次の1週間の予定から始めてみてください。
参考・確認先
次回予告|法規で時間が足りないとき、何を変える?
法規の点数を見直すときは、知識だけでなく、法令集で探す手順や、問題に時間をかけすぎていないかも確認したいところです。
第4回は、**「一級建築士の法規はどう勉強する?法令集を引く練習と時間配分の整え方」**を取り上げます。
問題を読んで確認する規定を考えるところから、条文の探し方、条件・例外の確認まで、机に向かう時間に何を練習するかを整理します。


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