この記事でわかること

- 2026年3月期、竹中工務店は2025年12月期のスーパーゼネコン5社の最新決算
- 去年の「2025年3月期決算」から、各社の業績がどう変化したのか
- 鹿島・大林・大成・清水・竹中の技術戦略、GX、DX、ロボット、低炭素材料の違い
- 就活・転職・キャリア形成で、どの会社をどう見るべきか
本記事の使い方

スーパーゼネコンを比較するとき、売上高や平均年収だけを見ても、本当の違いは見えてきません。
大切なのは、
どの会社が、どの領域で稼ぎ、どの技術に投資し、どんな人材にチャンスがあるのか
をセットで見ることです。
就活生であれば、志望動機をつくる材料になります。
転職検討中の技術者であれば、自分の経験がどの会社で評価されやすいかを考えるヒントになります。
若手・中堅の建築技術者であれば、ゼネコン各社の技術投資の方向性を知ることで、自分の専門性をどこに伸ばすべきかが見えてきます。
去年の記事では、2025年3月期決算をもとに、各社の「回復力」や「次期予想」を中心に整理しました。
しかし、2026年版では見え方が大きく変わっています。
一言でいえば、今年のテーマは、
“売上規模”よりも“採算改善力”が問われる局面に入った
ということです。
2026年3月期 業績サマリー

まずは、5社の最新決算を横並びで見てみます。
| 会社 | 対象決算期 | 売上高 | 営業利益 | 当期純利益 | 去年からの主な変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| 鹿島建設 | 2026年3月期 | 3兆672億円 | 2,407億円 | 1,773億円 | 売上高3兆円突破。建設事業の利益率改善で大幅増益 |
| 大林組 | 2026年3月期 | 2兆5,862億円 | 1,946億円 | 1,737億円 | 売上は横ばい〜微減でも、営業利益率が大きく改善 |
| 大成建設 | 2026年3月期 | 2兆890億円 | 1,879億円 | 1,700億円 | 売上減でも利益は大幅増。ROEも高水準 |
| 清水建設 | 2026年3月期 | 2兆578億円 | 1,223億円 | 1,266億円 | 前年の回復局面から、採算改善が数字に表れた |
| 竹中工務店 | 2025年12月期 | 1兆6,147億円 | 929億円 | 1,030億円 | 「守りの予想」から一転、大幅増益で着地 |
鹿島建設は、2026年3月期に売上高3兆672億円、営業利益2,407億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,773億円となり、建設事業の売上総利益率向上を主因に大幅増益となりました。
大林組は、売上高2兆5,862億円、営業利益1,946億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,737億円で、完成工事原価の低減などにより営業利益率が改善しています。
大成建設は、売上高が前期比3.0%減の2兆890億円となった一方、営業利益は1,879億円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,700億円と大幅増益となりました。
清水建設は、売上高2兆578億円、営業利益1,223億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,266億円となり、国内建築工事の採算改善が利益回復を支えました。
竹中工務店は、2025年12月期に連結売上高1兆6,147億円、営業利益929億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,030億円となり、前年から大幅な増益となりました。
所感まとめ
2025年版の記事では、スーパーゼネコン5社の見え方は、おおむね次のような整理でした。
鹿島と大林が利益総量で牽引し、大成はROEの高さが目立つ。
清水は赤字からの回復途上で、竹中は非上場らしく長期技術志向を維持しながらも、次期予想ではやや守りの姿勢が見える。
しかし、2026年版では構図が少し変わりました。
まず目立つのは、鹿島建設の売上高3兆円突破です。
スーパーゼネコンの中でも、売上規模・利益規模ともに一段抜けた印象があります。
特に重要なのは、単に売上が増えたことではなく、建設事業の採算改善によって営業利益が大きく伸びた点です。
大林組は、売上高だけを見ると前期比で大きく伸びたわけではありません。
しかし、営業利益は大きく増えています。
つまり、去年までの「海外・水インフラ・低炭素材料で成長する会社」という見方に加えて、
今年は工事採算を改善できる会社として見る必要があります。
大成建設も同じです。
売上高は前期比で減少していますが、営業利益・純利益は大幅に伸びました。
これは、受注量を追うだけではなく、採算性、資本効率、株主還元まで含めた経営に軸足を移していることを示しています。
清水建設は、去年の記事では「V字回復途上」という表現が合っていました。
しかし、2026年版では「回復途上」から一歩進み、採算改善の成果が見えてきた段階といえます。
もちろん、鹿島・大林・大成と比べれば利益水準にはまだ差がありますが、建築工事の採算改善が進んでいる点は評価できます。
そして、最も印象が変わったのが竹中工務店です。
去年の記事では、2025年12月期の見通しとして純利益が大きく減る「守りの計画」と整理していました。
ところが実績では、営業利益929億円、純利益1,030億円と大幅増益で着地しました。
これは、竹中を単に「作品主義・長期技術志向の会社」と見るだけでなく、採算改善力を持つ会社として見直す必要があるということです。
つまり、2026年版の結論はこうです。
スーパーゼネコン比較は、売上高ランキングから、採算改善力・技術投資・人材戦略を読む段階に入った。
去年は、
「どの会社が回復するか」
を見る年でした。
今年は、
「どの会社が高コスト時代でも利益を出せる体質に変わったか」
を見る年です。
する人には依然として魅力的な環境と言えます。

FY2027 会社予想と注力ドメイン

次に、2027年3月期、竹中工務店は2026年12月期の見通しと、今後の注力領域を見ていきます。
| 会社 | 次期見通しのポイント | 注力ドメイン |
|---|---|---|
| 鹿島建設 | 2027年3月期は減収減益予想。ただし純利益1,700億円を見込む高水準 | 国内建設、海外開発、AI・BIM・ロボット、生産性向上 |
| 大林組 | 売上高は拡大予想、営業利益はやや減益予想 | 水インフラ、低炭素材料、クリーンクリート、海外事業 |
| 大成建設 | 売上高は大幅増予想、営業利益は高水準維持 | 都市再開発、ZEB、T-eConcrete、インフラ更新 |
| 清水建設 | 売上高・営業利益ともに増加予想 | スマートビル、SUSMICS-C、建築採算改善、DX-Core |
| 竹中工務店 | 2026年12月期は減収減益見通し | 品質経営、木造・木質建築、ロボット施工、再エネ・文化財領域 |
鹿島建設は、2027年3月期について売上高2兆9,000億円、営業利益2,000億円、当期純利益1,700億円を見込んでおり、2026年3月期の高い利益水準からは減益予想ですが、中期経営計画の目標を上回る利益水準を維持する見通しです。
大林組は、2027年3月期に売上高2兆9,450億円、営業利益1,800億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,570億円を見込んでいます。
大成建設は、2027年3月期に売上高2兆4,200億円、営業利益1,880億円を見込んでいます。
清水建設は、2027年3月期に売上高2兆3,100億円、営業利益1,530億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,300億円を見込んでいます。
竹中工務店は、2026年12月期について、国内建設事業では資材価格・労務費上昇が続き、収益性確保が重要課題になると説明し、連結・単体とも減収減益の見通しを示しています。
★ 全体観

2027年3月期予想を見ると、各社の見方は少し慎重です。
2026年3月期は、各社とも採算改善が大きく効きました。
しかし、次期はその利益水準をそのまま伸ばすというより、高い利益水準を維持できるかが焦点になります。
建設業界では、資材価格の高止まり、労務費上昇、人手不足、設計変更・追加変更への対応、工期の長期化など、収益を圧迫する要因が続いています。
そのため、今後のスーパーゼネコン比較では、次の3つの軸が重要になります。
1つ目は、選別受注力です。
とにかく売上を取りにいくのではなく、採算性の低い案件をどう見極めるか。これは今後ますます重要になります。
2つ目は、技術を利益につなげる力です。
BIM、AI、ロボット、低炭素コンクリート、スマートビルなどの技術は、単なる研究開発では意味がありません。現場の省人化、工期短縮、品質安定、発注者への提案価値につながって初めて、決算に効いてきます。
3つ目は、人材を惹きつける力です。
スーパーゼネコンでも、現場を動かす人材、BIMを扱える人材、GX材料を理解できる人材、海外プロジェクトを管理できる人材は限られています。今後は、会社の規模だけでなく、どの会社が若手・中堅に成長機会を与えられるかが、競争力に直結します。
若手技術者向け★キャリア診断
ここからは、決算と技術戦略を踏まえて、若手技術者・就活生・転職検討者向けに、各社のキャリアイメージを整理します。
| 会社 | 入社3〜5年で関われる可能性がある領域 | 将来性 | 向いているタイプ |
|---|---|---|---|
| 鹿島建設 | 大型建築、海外PM、ロボット施工、BIM・AI活用 | ★★★★★ | グローバル志向・大規模PJ志向 |
| 大林組 | 低炭素材料、水インフラ、技術研究、海外土木 | ★★★★☆ | 技術開発・研究開発に興味がある人 |
| 大成建設 | 都市再開発、ZEB、T-eConcrete、インフラ更新 | ★★★★☆ | 都市開発・環境技術・収益性を見たい人 |
| 清水建設 | スマートビル、SUSMICS-C、DX-Core、建築施工改革 | ★★★★☆ | 改革期の会社で裁量を持ちたい人 |
| 竹中工務店 | 品質重視の建築、木造・木質建築、ロボット施工、文化財・再エネ | ★★★★☆ | 作品性・技術の深掘り・長期志向の人 |
去年の記事では、清水建設を「改革期で裁量が広がる会社」、竹中工務店を「長期技術志向の会社」と整理していました。
この見方は今も大きくは変わりません。
ただし、2026年版では少し補正が必要です。
清水建設は、単なる回復局面ではなく、スマートビルや環境配慮型コンクリートなど、実装フェーズのテーマが増えています。
竹中工務店も、単に作品主義というだけではなく、採算改善と技術投資を両立する会社として見た方がよいです。
鹿島建設 ―「世界で稼ぐ総合PM」と「現場DX」の道
鹿島建設の強みは、売上規模だけではありません。
国内建設、海外事業、開発事業、技術研究、現場DXを組み合わせて、総合的に稼ぐ力があります。
2026年3月期は、売上高が3兆円を超え、営業利益も2,400億円を超えました。これは、スーパーゼネコンの中でも非常に大きな存在感です。
若手技術者にとっての魅力は、大規模案件に関わるチャンスの大きさです。
大型再開発、超高層建築、海外プロジェクト、インフラ、開発事業など、経験できるフィールドが広い。
さらに、鹿島はロボット施工やデジタル技術の実装にも力を入れています。鹿島の技術紹介では、建設現場の担い手不足や高齢化に対し、働き方改革や生産性向上を図る建設ロボットの実装・展開を進めていることが紹介されています。
去年の記事では、鹿島を「海外で稼ぐ会社」と見る色が強めでした。
しかし、2026年版では、そこにAI・BIM・ロボットを使って現場の生産性を高める会社という視点を足したいところです。
向いているのは、
「大きなプロジェクトを動かしたい」
「海外や開発にも関心がある」
「施工管理だけでなく、PMや技術マネジメントにも広げたい」
という人です。
一方で、大規模組織である分、自分の専門性をどう出すかは重要です。
構造、設備、BIM、DX、海外、開発、カーボンマネジメントなど、自分の軸を早めにつくることが、鹿島でキャリアを伸ばすポイントになります。
大林組 ―「技術イノベーター」としての最短ルート
大林組は、スーパーゼネコンの中でも技術開発色が強い会社として見られます。
2026年3月期は、売上高こそ大きく伸びたわけではありませんが、営業利益は大幅に増えました。売上高2兆5,862億円、営業利益1,946億円という数字から見ると、売上規模を追うだけではなく、工事採算を改善しながら利益を出す方向に進んでいることがわかります。
技術面で注目したいのは、低炭素コンクリートです。
大林組の「クリーンクリート」は、高炉スラグ微粉末やフライアッシュなどを用いることで、一般的なコンクリートに比べてCO2排出量を最大80%程度低減できる技術として紹介されています。
さらに、大林組はクリーンクリートNのように、カーボンネガティブを目指す技術開発も進めています。
去年の記事では、大林組は「海外・水インフラ・低炭素材料」の会社として整理していました。
この方向性は2026年版でも継続です。
ただし、今年はそこに、
技術開発を実案件に落とし込み、収益性改善にもつなげている会社
という見方を加えたいです。
向いているのは、
「研究開発と現場の両方に関わりたい」
「低炭素材料やGXに関心がある」
「土木・インフラ・海外にも興味がある」
という人です。
スーパーゼネコンの中で、技術の深掘りをキャリアの中心に置きたい人にとって、大林組はかなり相性が良い会社といえます。
大成建設 ―「都市再開発×環境技術×高収益化」で食っていく
大成建設は、2026年3月期決算を見ると、非常にわかりやすい変化が出ています。
売上高は前期比で減少した一方、営業利益と純利益は大きく伸びました。
つまり、規模を追うより、採算性と資本効率を高める方向に進んでいると読めます。
この点は、就活・転職の会社選びでも重要です。
売上高だけで見ると「伸びていない」と感じるかもしれませんが、利益率やROEまで見ると、むしろ経営の質が上がっている可能性があります。
技術面では、T-eConcreteに注目です。
大成建設は、CO2を回収して製造する炭酸カルシウムを使い、脱炭素に貢献する環境配慮型コンクリート「T-eConcrete」を展開しています。
また、2025年には「T-eConcrete/Carbon-Recycle」を高速道路構造物の場所打ち施工に国内初適用したと発表しています。これは、環境配慮型コンクリートが実験段階から、土木・インフラの実施工へ広がりつつあることを示す動きです。
去年の記事では、大成建設を「都市再開発×DX」と整理していました。
2026年版では、ここに都市再開発×環境材料×高収益経営という見方を足した方がよいです。
向いているのは、
「都市再開発に関わりたい」
「BIMやZEB、環境技術を実務に使いたい」
「大規模案件を通じて、経営・収益性も学びたい」
という人です。
大成建設は、華やかな再開発だけでなく、環境技術やインフラ更新も含めて、都市を総合的に扱う会社として見ると理解しやすいです。
清水建設 ―「改革フェーズ」から「実装フェーズ」へ
清水建設は、去年の記事では「V字回復途上」として整理していました。
これは当時としては妥当な見方でした。
しかし、2026年版では、少し表現を変えたいところです。
2026年3月期の清水建設は、売上高2兆578億円、営業利益1,223億円、純利益1,266億円となり、前年から大きく利益を伸ばしました。
もちろん、鹿島・大林・大成と比べると、利益規模ではまだ差があります。
ただし、国内建築工事の採算改善が進んでいる点は大きいです。
技術面では、スマートビルと環境配慮型コンクリートが重要です。
清水建設のSUSMICS-Cは、バイオ炭をコンクリートに混ぜることでCO2を固定する環境配慮型コンクリートです。清水建設は、SUSMICS-Cを建築の構造材として展開する方向を示しており、バイオ炭1kgあたり実質2.6kgのCO2固定効果があると説明しています。
また、国土交通省発注工事でSUSMICS-Cが現場打設された事例では、普通ポルトランドセメントを使用するコンクリートと比較して63%のCO2排出削減効果があるとされています。
去年の記事では、清水建設は「改革期で若手にチャンスがある会社」と表現しました。
2026年版では、そこにスマートビル・環境材料・採算改善を実装する会社という視点を加えたいです。
向いているのは、
「会社の変化を中から経験したい」
「スマートビルや建物運用DXに興味がある」
「環境配慮型コンクリートや建築GXに関わりたい」
という人です。
清水建設は、完成された安定企業というより、いままさに利益体質と技術戦略を組み直している会社として見ると面白いです。
竹中工務店 ―「作品主義×採算改善×長期技術蓄積」を極める
竹中工務店は、他の4社と違い、非上場企業です。
そのため、株主還元や株価を前提とした比較だけでは見えにくい会社です。
去年の記事では、竹中工務店について、2025年12月期の予想をもとに「純利益を大幅に減らす守りの計画」と整理していました。
しかし、実績は大きく違いました。
2025年12月期の連結業績は、売上高1兆6,147億円、営業利益929億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,030億円。建設事業の採算性改善によって、大幅増益となりました。
これはかなり重要な変化です。
竹中工務店は、単に「作品性を大切にする会社」「非上場で長期目線の会社」というだけではありません。
高コスト時代の中でも、採算改善によってしっかり利益を出せる会社として見る必要があります。
一方で、竹中工務店は2026年12月期について、建設資材価格や労務費の上昇が続き、収益性確保が重要課題であるとし、連結・単体とも減収減益の見通しを示しています。
つまり、竹中工務店は、短期的には慎重な見通しを置きながらも、長期的には品質経営、作品性、木造・木質建築、ロボット施工、再生可能エネルギー、文化財保存など、独自性のある技術領域を磨いていく会社といえます。
向いているのは、
「建築の品質やディテールを大切にしたい」
「長期的に技術を深掘りしたい」
「売上規模よりも、作品性や専門性を重視したい」
という人です。
竹中工務店は、スーパーゼネコン5社の中でも、会社選びの価値観が最も分かれやすい会社です。
巨大開発や海外PMを主軸にしたい人には、鹿島や大林の方が合うかもしれません。
一方で、建築そのものの質、技術の蓄積、設計施工の思想に惹かれる人にとっては、非常に魅力的な会社です。
働きやすさスナップショット

スーパーゼネコンを就職・転職先として見る場合、年収や残業時間も気になるところです。
ただし、この章は注意が必要です。
平均年収は有価証券報告書などの公開情報で比較しやすい一方、残業時間や離職率は、会社ごとに開示範囲や集計方法が異なります。
そのため、ここでは「ざっくりした比較」として見てください。
| 会社 | 年収水準の見方 | 働き方の見方 | キャリア上の特徴 |
|---|---|---|---|
| 鹿島建設 | 5社の中でも高水準 | 大型案件が多く、忙しさも大きい | 高収入・大規模PJ・海外志向 |
| 大林組 | 高水準 | 技術研究・インフラ系の厚み | 研究開発と現場を往復しやすい |
| 大成建設 | 高水準 | 都市再開発・DX・環境技術 | 高収益案件で経験を積みやすい |
| 清水建設 | 高水準 | 改革・採算改善のフェーズ | 変革期の裁量を得やすい |
| 竹中工務店 | 高水準 | 長期志向・品質重視 | 作品性と技術蓄積を重視 |
2025年3月期の有価証券報告書ベースでは、鹿島建設の平均年収は約1,185万円、大林組は約1,140万円、大成建設は約1,058万円、清水建設は約1,012万円と紹介されています。
ここで大切なのは、スーパーゼネコンはどこも年収水準が高いということです。
つまり、会社選びで本当に差が出るのは、年収そのものよりも、次のような点です。
- どんな案件に関われるか
- どの技術領域を伸ばせるか
- 現場中心か、研究開発中心か
- 海外・開発・PMに広がるか
- 働き方改革が実際の現場まで届いているか
- 自分の専門性が会社の成長領域と合っているか
去年の記事では、年収・残業・離職率を比較することで、会社ごとの働きやすさを整理しました。
2026年版では、それに加えて、**高年収の裏側にある“求められる専門性の変化”**も見た方がよいです。
これからのスーパーゼネコンでは、単に現場を回せるだけでなく、次のような力が評価されやすくなります。
- BIMやデジタルツールを使いこなす力
- 工事採算を意識して施工計画を組む力
- 追加変更・VE・発注者対応を論理的に説明する力
- GX材料やLCCO2を理解する力
- 若手技能者や協力会社とチームを組む力
- 海外・不動産・インフラなど、建築の外側まで見る力
つまり、スーパーゼネコンの働きやすさは、単に残業時間だけでなく、
自分の成長方向と会社の投資領域が合っているか
で判断した方がよいです。
まとめ
まとめ①|数字で読む

2026年版のスーパーゼネコン比較では、最も大きな変化は「採算改善」です。
去年の記事では、2025年3月期の実績と2026年3月期の会社予想をもとに、各社の成長余地や回復力を見ていました。
しかし、今年は2026年3月期の実績が出そろい、各社の採算改善が数字として表れました。
特に注目すべきは次の点です。
| 会社 | 2026年版での見方 |
|---|---|
| 鹿島建設 | 売上高3兆円突破。規模・利益ともに一段抜けた存在 |
| 大林組 | 売上横ばいでも利益改善。技術と採算の両立が進む |
| 大成建設 | 売上減でも大幅増益。資本効率と高収益化が目立つ |
| 清水建設 | 回復途上から、採算改善の実装フェーズへ |
| 竹中工務店 | 守りの予想から一転、大幅増益で着地 |
去年は、
「どの会社が回復するか」
を見る年でした。
今年は、
「どの会社が高コスト時代でも利益を出せる体質に変わったか」
を見る年です。
まとめ②|技術で選ぶ

技術面では、各社の違いがよりはっきりしてきました。
| 技術軸 | 注目企業 | 伸びるテーマ |
|---|---|---|
| AI・BIM・ロボット施工 | 鹿島・竹中 | 省人化、現場生産性、施工自動化 |
| 低炭素コンクリート | 大林・大成・清水 | クリーンクリート、T-eConcrete、SUSMICS-C |
| 都市再開発・ZEB | 大成・鹿島・清水 | 大規模開発、環境性能、建物運用 |
| スマートビル・FM | 清水・大成 | DX-Core、建物OS、施設管理DX |
| 作品性・木造・品質経営 | 竹中 | 木質建築、設計施工、長期技術蓄積 |
| 海外・インフラ | 鹿島・大林 | 海外建築、水インフラ、PM |
スーパーゼネコンを「どこが一番良いか」で見ると、答えは出にくいです。
大切なのは、
自分がどの技術領域で勝負したいか
です。
海外PMをやりたいなら鹿島。
技術研究や低炭素材料を深掘りしたいなら大林。
都市再開発と環境技術を両方見たいなら大成。
スマートビルや建築GXの実装フェーズに関わりたいなら清水。
作品性や品質、長期的な技術蓄積を大切にしたいなら竹中。
このように見ると、会社選びはかなり具体的になります。
まとめ③|キャリアで選ぶ

スーパーゼネコンは、どこも大きな会社です。
だからこそ、会社名だけで選ぶと、入社後にミスマッチが起きることがあります。
これからの会社選びでは、次の問いが重要です。
- 自分は現場施工を極めたいのか
- BIM・AI・ロボット側に広げたいのか
- GX材料やLCCO2に関わりたいのか
- 海外PMや不動産開発に広げたいのか
- 建築の作品性や品質を深掘りしたいのか
- 将来、発注者側・デベロッパー・PMに転じたいのか
スーパーゼネコン5社は、どこも優良企業です。
しかし、求められる人材像は少しずつ違います。
2026年版として一番伝えたいのは、
売上高だけで会社を選ぶ時代ではない
ということです。
これからの建築技術者は、会社の規模だけでなく、
決算に表れる採算改善力
技術投資の方向性
自分の専門性との相性
を見て会社を選ぶべきです。
スーパーゼネコン比較は、ランキングではなく、キャリア戦略です。

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参考資料リンク集
- 鹿島建設 2026年3月期 決算短信・決算説明資料
- 大林組 2026年3月期 決算短信
- 大成建設 2026年3月期 決算短信
- 清水建設 2026年3月期 決算短信
- 竹中工務店 2025年度 第88期 決算概要
- 大林組 クリーンクリート
- 大成建設 T-eConcrete
- 清水建設 SUSMICS-C
- 鹿島建設 建設ロボット・スマート生産関連情報

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