建築材料には、意外なほど多くの石油由来・プラスチック系材料が使われています。
代表的なものだけでも、防水材、接着剤、塗料、シーリング材、樹脂配管、断熱材、床材、内装材、養生材、梱包材などがあります。
これらは建物の防水性、気密性、耐久性、施工性、仕上げ品質を支える重要な材料です。
一方で、その多くは石油化学サプライチェーンの影響を受けやすい材料でもあります。
環境省は2026年4月17日、「令和8年度脱炭素型循環経済システム構築促進事業」のうち、「プラスチック等資源循環システム構築実証事業」の公募を公表しました。
この事業は、化石由来資源の代替素材開発や、使用済み化石由来資源のリサイクル技術・システム高度化などを通じて、社会実装に向けた技術的課題を解決し、事業化に向けた実証を行うものです。(環境省)
これは一見すると、建材メーカーや素材メーカー向けの補助事業に見えるかもしれません。
しかし、建築実務の側から見ると、かなり重要な意味を持ちます。
これからの発注者、設計者、施工者は、材料を「性能と価格」だけで選ぶのではなく、「調達リスク」「資源循環」「LCCO2」まで含めて見る必要があります。
建材は、安定して手に入るものではなく、環境価値とサプライチェーンリスクを含めて選定するものに変わりつつあります。


結論|建材は“石油由来で当たり前”から変わり始めている

建材の脱炭素化というと、まず思い浮かぶのは鉄骨、セメント、コンクリート、アルミ、ガラスなどです。たしかに、これらは建設時CO2やLCCO2を考えるうえで非常に大きな要素です。
しかし、建築材料の脱炭素化は、鉄とコンクリートだけの話ではありません。
防水材、シーリング材、接着剤、塗料、樹脂配管、断熱材、床材、内装材といったプラスチック系・石油化学系材料も、建物の品質を支える重要な材料です。
これらは単価だけで見ると構造材料ほど目立たない場合がありますが、工事全体の工程や品質に与える影響は決して小さくありません。
たとえば、シーリング材が入らなければ外壁まわりの納まりが止まります。
防水材が遅れれば屋上防水やバルコニー防水が進みません。
接着剤や塗料が不足すれば内装仕上げや改修工事にも影響します。樹脂配管や断熱材が遅れれば、設備工事や断熱工事の工程に直接響きます。
つまり、石油由来建材の問題は、環境部門だけのテーマではありません。
設計、施工、購買、工程管理、品質管理、発注者判断のすべてに関係します。
さらに、建築物分野ではライフサイクル全体でのCO2排出を評価する動きも進んでいます。
国土交通省は、建築物の計画から解体までのライフサイクル全体で排出されるCO2を含む環境負荷を算定・評価する建築物LCA制度について検討を進めており、2028年度を目途に制度開始を目指す基本構想も示されています。(国土交通省)
その流れの中で、石油化学建材も「見えにくい材料」では済まなくなっていきます。
この章のまとめ
- 建材の脱炭素化は、鉄・コンクリートだけの話ではない
- 防水材、接着剤、塗料、シーリング材なども重要な対象になる
- 今後は性能・価格・納期に加えて、資源循環とLCCO2も確認する必要がある
プラスチック等資源循環システム構築実証事業とは何か

環境省が公表した「プラスチック等資源循環システム構築実証事業」は、脱炭素型の循環経済システムを構築するための実証事業です。
ポイントは大きく二つあります。
一つ目は、化石資源由来プラスチックを代替する省CO2型バイオプラスチック等への転換です。
環境省の公募情報では、化石資源由来プラスチックについて、原料をバイオマスに切り替えたプラスチック、紙、セルロースなどの再生可能資源素材に置き換えること、またはその割合を増やすことが対象として示されています。(環境省)
二つ目は、現状ではリサイクルが難しいプラスチック等について、リサイクルプロセスを構築し、省CO2化する実証です。
ここで重要なのは、単なる熱回収ではなく、材料や化学原料等としての利用が主な対象とされている点です。(環境省)
建築実務に引き寄せると、これは次のような論点につながります。
たとえば、これまで石油由来材料に依存していた一部の建材について、バイオマス由来原料、再生プラスチック、リサイクル原料、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルなどの選択肢が増える可能性があります。
もちろん、すぐに建築現場の防水材やシーリング材が一斉に置き換わるわけではありません。
建築材料は、耐久性、防火性、耐候性、接着性、施工性、保証、認定、規格との整合が必要です。単に「環境に良い」だけでは採用できません。
それでも、この実証事業が示している方向性は明確です。プラスチックを「使って捨てる材料」として見るのではなく、設計、使用、回収、再資源化まで含めたライフサイクルで見る流れが強まっています。
プラスチック資源循環法も、製品の設計から排出・回収・リサイクルに至るまで、ライフサイクル全般で3R+Renewableに取り組むことを掲げています。(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)の普及啓発ページ |)
この章のまとめ
- 環境省の実証事業は、代替素材とリサイクル高度化を支援するもの
- 建築材料にも、将来的に代替素材・再生材の選択肢が広がる可能性がある
- ただし建築材料では、性能・認定・施工性・保証確認が不可欠になる
建築材料にはどんな石油化学製品が使われているのか

建築現場で使われる石油由来・プラスチック系材料は、かなり幅広く存在します。
まず、防水材です。ウレタン塗膜防水、シート防水、アスファルト系防水材、改質アスファルト、各種プライマーなど、防水工事には化学材料が多く使われます。
屋上、バルコニー、外部廊下、地下外壁、ピットまわりなど、漏水リスクを抑えるために欠かせない材料です。
次に、シーリング材です。外壁目地、サッシまわり、ALC、PCa、金属パネル、設備貫通部など、建物の動きや隙間を吸収しながら水密性・気密性を確保します。
シーリング材は小さな材料に見えますが、外装品質を左右する重要材料です。
接着剤も重要です。床材、内装材、タイル、断熱材、下地材、改修工事の補修材など、さまざまな場面で使われます。塗料も、外装、内装、鉄部、設備、床、屋上付帯部など、建物の保護と意匠性の両方に関係します。
樹脂配管は、給排水、空調ドレン、電線管、設備配管などに使われます。軽量で施工性が高く、腐食しにくい一方で、原料や添加剤の供給、規格適合、防火区画貫通部の納まりなどを確認する必要があります。
断熱材にも、発泡プラスチック系材料が多く使われます。押出法ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォームなどは、住宅・非住宅の省エネ性能を支える重要な材料です。
一方で、防火性、煙、有毒ガス、施工時の隙間、長期性能など、設計・施工上の確認事項も多い材料です。
さらに、床材、ビニルクロス、塩ビシート、巾木、見切り材、養生材、梱包材もあります。
これらは現場で当たり前のように使われますが、廃棄段階では分別や再資源化が難しいものも少なくありません。
表1:建築で使われる主な石油由来・プラスチック系材料
| 材料 | 主な用途 | 石油化学製品との関係 | 調達リスク | 代替・循環の課題 |
|---|---|---|---|---|
| 防水材 | 屋上、バルコニー、地下、外部床 | 樹脂、溶剤、改質材、プライマー等 | 原料価格、特定成分、施工時期への影響 | 耐久性、防水保証、施工実績の確認 |
| シーリング材 | 外壁目地、サッシまわり、設備貫通部 | シリコーン、変成シリコーン、ポリウレタン等 | 特定グレード不足、納期遅延 | 耐候性、接着性、目地設計との整合 |
| 接着剤 | 床材、内装材、タイル、断熱材 | 合成樹脂、溶剤、添加剤 | 内装工程への影響 | VOC、接着強度、下地適合性 |
| 塗料 | 外装、内装、鉄部、床 | 樹脂、顔料、溶剤、添加剤 | 原料価格、色・仕様変更 | 耐候性、塗膜性能、補修性 |
| 樹脂配管 | 給排水、ドレン、電線管 | 塩ビ、ポリエチレン、ポリプロピレン等 | 原料価格、規格品不足 | 防火区画、耐熱性、規格適合 |
| 断熱材 | 外皮、屋根、床、冷凍冷蔵倉庫 | 発泡プラスチック、発泡剤等 | 原料・発泡剤・需要集中 | 防火性、熱性能、長期劣化 |
| 床材 | 長尺シート、タイル、巾木 | 塩ビ、可塑剤、表面処理材 | 仕上げ工程への影響 | 再資源化、接着剤との組合せ |
| 養生材 | 床養生、開口部養生、梱包 | 樹脂シート、発泡材、フィルム | 大量使用、現場廃棄 | 分別、回収、再利用ルート |
この章のまとめ
- 石油化学建材は、仕上げ・防水・設備・断熱・仮設まで幅広い
- 小さな材料でも、欠品すると工程全体が止まることがある
- 材料リストを「石油由来度」と「代替可能性」で見直す視点が必要になる
なぜ石油由来建材の資源循環が重要になるのか

石油由来建材の資源循環が重要になる理由は、単に「環境に良いから」ではありません。
第一に、脱炭素です。建築物の省エネ化が進むほど、運用時のCO2だけでなく、建材製造、施工、改修、解体、廃棄に関わるCO2の重要性が高まります。
国土交通省資料でも、今後は建材・設備の製造、建築物の建設、改修・維持保全、解体等におけるCO2排出量削減に取り組む必要があるとされています。(国土交通省)
第二に、廃棄物削減です。建設現場では大量の建設副産物が発生します。
国土交通省は建設副産物実態調査を概ね5年周期で実施しており、建設資材利用量、再生資材の利用割合、建設副産物の発生量・搬出量などを把握しています。(国土交通省)
第三に、原油、ナフサ、石油化学製品の価格変動です。
多くのプラスチック系材料は、石油化学の上流側にある原料価格や供給状況の影響を受けます。
建築現場では、価格上昇そのものよりも、メーカーの出荷調整、納期延長、代替品提案、仕様変更協議として表面化することがあります。
第四に、中東情勢などの地政学リスクです。これは「中東で何か起きたら、すぐに全建材が不足する」という単純な話ではありません。
ただし、原油、ナフサ、石油化学製品、海上物流、保険、商社の在庫判断などが保守的になると、特定材料の納期に影響が出る可能性があります。
第五に、発注者側のBCPです。BCPというと災害時の事業継続をイメージしがちですが、建設プロジェクトにおいては、重要材料の調達難も事業継続リスクです。
竣工時期、テナント入居、売上開始、補助金期限、引渡し条件に影響するためです。
第五次循環型社会形成推進基本計画では、循環経済への移行を国家戦略として位置づけ、気候変動対策だけでなく、産業競争力や経済安全保障にもつながる政策課題として整理しています。(環境省)
この視点は、建築材料にもそのまま当てはまります。資源循環は、環境価値であると同時に、調達リスクを下げるための産業戦略でもあります。
この章のまとめ
- 資源循環は、環境対策であると同時に調達リスク対策でもある
- 石油由来建材は、原油・ナフサ・物流・地政学リスクの影響を受け得る
- 発注者は、材料調達をBCPの一部として見る必要がある
代替素材・リサイクル材を使うときの実務課題

ここで注意したいのは、「石油由来建材は悪い」「代替素材なら無条件に良い」と単純化しないことです。
建築材料に求められるのは、環境性能だけではありません。
むしろ実務では、性能、耐久性、防火性、施工性、保証、供給量、コスト、認定・規格との整合がすべてそろって、初めて採用候補になります。
たとえば、代替素材を使った断熱材を採用する場合、熱伝導率だけを見ればよいわけではありません。
防火性能、燃焼時の挙動、施工時の欠損リスク、吸水性、長期劣化、結露リスク、納まり、認定番号、設計図書との整合を確認する必要があります。
リサイクル材を使った床材や内装材であれば、意匠性、耐摩耗性、寸法安定性、接着剤との相性、VOC、補修性、将来の張替え時の廃棄方法まで確認したいところです。
防水材やシーリング材では、より慎重な判断が必要です。防水やシーリングは、建物の不具合リスクに直結します。
環境配慮型材料であっても、長期保証、防水保証、施工実績、メーカー責任範囲、下地との適合性、施工時期の制約が確認できなければ、安易には採用できません。
発注者側にとって重要なのは、「環境配慮型材料を使うかどうか」ではなく、「どの性能を落とさず、どのリスクを誰が確認し、どの書類で承認するか」です。
表2:代替素材・リサイクル材を採用するときの確認ポイント
| 確認項目 | なぜ重要か | 確認資料 | 発注者側の注意点 |
|---|---|---|---|
| 性能証明 | 従来品と同等性能か確認するため | 試験成績書、技術資料、カタログ | 「環境配慮」だけで承認しない |
| 防火・耐火性能 | 法規・認定・避難安全に関わるため | 認定書、仕様書、評価書 | 認定範囲外の納まりに注意 |
| 耐久性 | 長期不具合・更新周期に影響するため | 促進耐候性試験、実績資料 | 保証年数と実使用環境を確認 |
| 施工実績 | 現場で使えるか確認するため | 採用実績、施工要領書 | 初採用では試験施工も検討 |
| 保証 | 不具合時の責任範囲を明確にするため | 保証書、メーカー見解 | 施工会社保証との関係を整理 |
| 供給量 | 大型案件で数量確保できるか確認するため | 生産能力、納期回答 | 代替品を複数候補化する |
| コスト | 初期費用・更新費用に影響するため | 見積書、VE比較表 | 単価だけでなくLCCで見る |
| 廃棄・回収方法 | 循環性を実現するため | 回収スキーム、処理委託先情報 | 現場分別と回収ルートを確認 |
この章のまとめ
- 代替素材・リサイクル材は、性能確認なしに採用してはいけない
- 防水、シーリング、断熱、防火関係は特に慎重な確認が必要
- 発注者承認では、試験成績書・認定書・保証・施工実績をセットで見る
建設廃棄物・建設副産物との関係

プラスチック資源循環を建築実務で考える場合、製品としての建材だけでなく、現場で発生する廃棄物も重要です。
建設現場では、廃プラスチック、梱包材、養生材、端材、保護フィルム、断熱材の切れ端、床材の端材、塩ビ系材料、発泡材などが発生します。
これらは軽くてかさばるものが多く、汚れ、接着剤、複合材、異素材混合などによって再資源化が難しくなることがあります。
コンクリート塊やアスファルト塊は、再生砕石や路盤材として比較的リサイクルルートが整理されています。
一方、プラスチック系建材は、材料種類が多く、複合化されており、現場での分別も難しいため、循環利用のハードルが高い面があります。
ここで大事なのは、「リサイクル率が高いか低いか」だけではありません。
何に再利用されているのか。水平リサイクルなのか、低位利用なのか。
材料として戻っているのか、燃料として使われているのか。現場で分別可能なのか。回収ルートがあるのか。こうした中身を確認する必要があります。
国土交通省は、建設リサイクル関連の情報として、建設リサイクル推進計画、建設リサイクル報告様式、リサイクル原則化ルール、建設副産物適正処理推進要綱、建設副産物実態調査などを整理しています。(国土交通省)
また、再生資源利用計画書・再生資源利用促進計画書の様式も公表されており、公共工事では発注者が指定する方法により作成・提出することが示されています。(国土交通省)
つまり、建設現場の資源循環は「なんとなく分別する」段階ではなく、計画、記録、報告、発注者確認の対象になっています。
この章のまとめ
- プラスチック系建材は、廃棄段階で分別・再資源化が難しいものも多い
- リサイクル率だけでなく、再利用先と循環の質を見る必要がある
- 建設副産物は、計画・記録・報告まで含めて管理する時代になっている
発注者・設計者・施工者が確認すべきこと

では、実務者は何を確認すればよいのでしょうか。
まず、仕様書の中で石油化学建材がどこに使われているかを把握することです。
防水、シーリング、塗装、接着剤、床材、断熱材、樹脂配管、内装材、養生材などを、材料リストとして整理します。
次に、代替素材を採用する場合は、性能証明を確認します。カタログだけでなく、試験成績書、認定書、JIS・JAS等との整合、メーカー見解、施工要領書、保証条件を確認します。
三つ目は、調達難が起きた場合の代替品承認ルールです。
材料不足が起きたとき、現場判断だけで仕様を変えると、性能・保証・設計図書との不整合が起きます。代替品候補、承認フロー、確認書類、発注者判断の期限を事前に決めておくことが重要です。
四つ目は、環境性能だけでなく、耐久性、防火性、施工性を確認することです。特に建築では、環境価値があっても、漏水リスクや火災リスクを高める材料は採用できません。
五つ目は、LCCO2やESG説明に使える情報を整理することです。材料の環境情報、EPD、リサイクル材含有率、回収スキーム、製造時CO2、更新周期などを把握しておくと、発注者説明や環境認証対応にも使いやすくなります。
六つ目は、サプライチェーンリスクを工程計画に織り込むことです。防水、外装、設備、内装のように後工程へ影響しやすい材料は、早期発注、複数候補、代替承認、在庫確認をセットで進める必要があります。
材料、施工、調達、環境性能、発注者判断を横断して説明できる技術者は、デベロッパー・発注者側・PM・環境不動産領域で価値が高まります。これは単なる環境知識ではなく、プロジェクトを止めないための実務スキルです。
この章のまとめ
- 仕様書の中で石油化学建材を見える化する
- 代替品承認ルールを事前に決める
- 環境性能、耐久性、防火性、施工性、LCCO2をセットで確認する
チェックリスト|石油由来建材・資源循環で確認すべき項目

石油由来建材や代替素材を扱うときは、次のようなチェックリストを使うと整理しやすくなります。
表3:石油由来建材のリスクと実務対応
| リスク | 起きること | 影響を受ける工種 | 対応策 |
|---|---|---|---|
| 原料価格上昇 | 見積単価の上昇、価格改定 | 防水、塗装、内装、設備 | 価格変動条項、早期見積、代替品検討 |
| 納期遅延 | 工程の後ろ倒し | 防水、外装、設備、内装 | 早期発注、在庫確認、複数候補化 |
| 代替品承認 | 仕様変更、性能確認が必要 | 全工種 | 承認フロー、試験成績書、メーカー見解 |
| 品質確認 | 従来品との差異が不明 | 防水、シーリング、断熱 | 試験施工、施工要領書、保証確認 |
| 工程遅延 | 後続工種が進まない | 外装、仕上げ、設備 | クリティカルパス上の材料を重点管理 |
| 追加費用協議 | 発注者・施工者間で負担協議 | 全体工程、購買 | 契約条件、変更協議記録、根拠資料整備 |
実務チェックリスト
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 材料種別 | 防水材、接着剤、塗料、樹脂配管、断熱材などの分類 |
| 石油由来度 | 化石由来原料への依存度、再生材含有率 |
| 代替可能性 | 同等品、環境配慮品、複数メーカー品の有無 |
| 性能確認 | 強度、耐久性、接着性、防水性、耐候性 |
| 認定・規格 | JIS、JAS、防火認定、個別認定、仕様書適合 |
| 供給安定性 | 納期、在庫、生産能力、輸入依存度 |
| 施工性 | 従来工法との差、施工条件、職人の習熟度 |
| 廃棄・回収方法 | 分別、回収ルート、処理委託、マニフェスト |
| LCCO2 | 製造時CO2、施工時CO2、更新周期、廃棄時CO2 |
| 発注者承認 | 承認書類、判断期限、責任範囲、保証条件 |
このチェックリストは、設計段階だけでなく、見積、VE、施工計画、代替品承認、竣工後のESG説明にも使えます。
特に発注者側では、「環境配慮型材料を使ったか」だけではなく、「なぜその材料を選んだのか」「従来品と何が違うのか」「将来の更新・廃棄まで説明できるのか」を整理しておくことが重要です。
この章のまとめ
- 石油由来建材は、材料種別ごとにリスクを分けて確認する
- 代替素材は、性能・認定・供給・施工・保証をセットで見る
- チェックリスト化すると、設計者・施工者・発注者の判断が揃いやすい
まとめ|建材選定は、性能・価格・納期・資源循環を同時に見る時代へ

プラスチック資源循環は、環境部門だけの話ではありません。
建築実務では、防水材、シーリング材、接着剤、塗料、樹脂配管、断熱材、床材、内装材、養生材など、非常に多くの石油由来・プラスチック系材料が使われています。これらは建物の品質を支える一方で、石油化学サプライチェーン、原油・ナフサ価格、物流、地政学リスクの影響を受ける可能性があります。
環境省のプラスチック等資源循環システム構築実証事業は、代替素材やリサイクル技術の社会実装を進めるものです。建築業界にとっては、将来的に材料選定の選択肢が増える可能性がある一方で、性能、耐久性、防火性、施工性、保証をどう確認するかが重要になります。
また、建築物LCAやLCCO2評価の流れが進む中で、建材の製造、施工、改修、解体、廃棄までを含めた環境負荷の説明が求められる場面は増えていきます。
これからの建材選定は、単に「安い」「いつもの材料」「施工しやすい」だけでは不十分です。
性能、価格、納期、資源循環、LCCO2、調達リスクを同時に見て、発注者・設計者・施工者が共通の判断材料を持つことが必要です。
石油由来建材の調達リスクを説明できる技術者、代替素材を性能面から評価できる技術者、LCCO2や建設廃棄物まで含めて発注者に説明できる技術者の価値は、今後さらに高まるはずです。

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